法制検討会 規制のあり方検討 安全委の存在も議論

日本原子力学会は第3回「原子力法制の在り方検討委員会」(略称=原子力法制検討会、委員長=班目春樹・東京大学院教授)を7日、東京都内で開催し、『社会と法制度設計分科会』、『技術と法の構造分科会』の中間報告を発表した。

まず『社会と法制度』の分科会報告については、主査を務める城山英明・東京大学院法学政治学研究科教授が説明した。

今回は特に、バックフィット問題、事業規制の課題、原子力安全委員会のあり方を中心に規制体制の課題について焦点を当て報告した。

原子力安全規制体制については「関係者の課題認識」として、@技術の定型化などを背景に、事業許可・設置許可において、原子力安全委員会のダブルチェックの必要性は低下しており、廃止あるいは再構築すべきではないかA同委員会のダブルチェック用の指針類(同委の内規)を、原子炉等規制法に基づく政省令に位置付けし直すべきではないかB同委はダブルチェックではなく後続規制を含む規制行政庁の安全規制活動全体に対する監査的機能に重点を移すべきではないかC規制行政庁における審査や安全委員会における規制調査等における専門的能力の確保が必要――との認識を基に、安全規制の歴史的経緯を再検証した。

特に安全委員会のダブルチェックの目的とあり方については、「あまり議論されてこなかった」と指摘した。

続いて『技術と法』の分科会では、西脇由弘・東京大学院原子力国際専攻客員教授が報告した。

まず現行法が抱える課題として、@設置許可の「許可の要素」が不十分で、従って、変更要件が本文記載事項と形式的に決められていることA工事計画認可に見られるように、構造強度に偏った規制となっているB諸外国と比較すると、構造強度規制に本格的に品質保証が取り込まれておらず、また、民間の第三者認証活動が行われていないC設置許可と工認の2段階設計審査の関係を明確に整理することが必要D段階規制構造をとったため、規制側が被規制者をどのように捉えているのかという規制側の書類が追補・補完されていない――などの点を列挙し、「これら未解決の主要課題は、わが国の原子力の法構造に根ざしており、この骨格のずれの見直しが必要」と強調した。

意見交換の中で、東京電力の武藤栄・常務取締役は、「現場の安全性が高まり実効性が上がるもの、実績、技術進歩を反映し、それらを促していくものとすべき」と述べ、規制資源も実効性の上がる部門へと移していくべきとの考えを示した。さらに「何が一番安全性に関わるのか、現場によく考えさせるような方向性が重要だ。学会としてもパブリシティー(周知)してほしい」と要請した。


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