米露首脳 原子力協力で共同声明 原子力協力協定発効へ努力

米国のB.オバマ大統領とロシアのD.メドベージェフ大統領は6日、モスクワでの会談後に両国の原子力協力に関する共同声明を発表し、昨年凍結されていた民生用原子力利用に関する協力協定については発効に向けて協力していく考えであることを明らかにした。

声明の中で両大統領は、今年4月のロンドン金融サミットにおける両国の核削減等に関する合意内容を実行に移すため、民生用施設における高濃縮ウラン利用の最小化や、核物質の統合・転換などを通じて世界の原子力施設の安全保障レベルを向上させることで長期的な協力関係を一層拡大し、深めていくことを宣言。両国の核兵器解体から出たプルトニウムを処理し、低濃縮ウランとして米国の民生用原子炉で利用する協力に言及したほか、2005年の首脳会談合意に基づき、米露それぞれが設計した第三国の研究炉から高濃縮ウランを回収し、それらの炉を低濃縮ウラン仕様に転換する協力についても、継続して実施していくことを確認した。

また、原子力平和利用における保障措置促進の重要性に鑑み、国際的な保障措置システムの効率化や強化で二国間および多国間の協力を拡大していく点でも合意。クリーンで安全、価格も手頃な原子力の平和利用を促進させるという両国共通の展望を共有し、国際社会に対して両国は次の様な点でさらなる努力を提供していくとしている。すなわち、@革新的で有望な原子力システムの開発A信頼性のある燃料サイクル・サービスの提供メカニズムと手法の研究B核不拡散体制を保証できる燃料サイクル・サービスの設立に向けた国際的アプローチの研究C国際的な保障措置システムの改良――など。

両国はさらに、昨年8月のグルジア紛争により、正式調印したにも拘らず米議会への承認申請を取り下げるに至った両国の二国間原子力協力協定について触れ、発効に向けて努力していくことを明言。今回合意した第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約の年内締結とともに、両国の関係修復を印象づけている。

なお、両国首脳はこの日、START1の後継条約の下で核弾頭配備数の上限を1500〜1675発、大陸弾道弾ミサイル等の運搬車両数も1100〜500まで削減することなどで合意したほか、米露間の協力推進機関となる「大統領委員会」の設置を決めている。座長は米露両国の大統領、進行役を両国の外務大臣が務めるほか、課題分野ごとに作業部会を設置していく。すでに決まっている13部会のうち「原子力エネルギー・原子力安全保障」部会の担当者として、ロスアトム社のS.キリエンコ総裁と米エネルギー省のD.ポネマン副長官が、「エネルギー・環境」部会の担当者には、ロシア・エネルギー省のS.シュマトコ大臣と米エネルギー省のS.チュー長官の名が挙がっている。


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