島根3号 圧力容器据付け 11年12月営業運転めざす 総重量820トン 3時間かけ慎重作業

「築く信頼 地域とともに 魂込めて3号機」をスローガンに掲げ、中国電力が11年12月の営業運転開始を目指し建設を進めている島根原子力発電所3号機(島根県松江市、137.3万kW、ABWR)で17日、原子炉圧力容器のつり込み作業が行われた(=写真)。つり込みに使用された大型クローラクレーンは、最大定格荷重930トン、本体総重量3600トン、移動式としては世界最大級のもの。当日は、松浦正敬・松江市長も現地視察に訪れ、原子力発電所の「心臓部」の据付作業を見守り、「工事の一番のクライマックス」などと述べ、今後の同機建設工事の安全な進捗を願った。

17日、つり込み作業の実施は、朝方からの豪雨により一時、危ぶまれたものの、天候も小康状態を見せ、午前10時、作業が開始された。島根3号機の原子炉圧力容器は、内径約7m、高さ約21m、胴体部板厚約17cm、重量約910トン、鋼材は日本製鋼所室蘭製作所で作られている。圧力容器は、つり込みの3日前の14日、製造元のバブコック日立(広島・呉市)より海上輸送、陸揚げされた。つり込み作業は、大型クローラクレーンで、容器を地上約35mまで引き上げた後、アームを旋回させ、原子炉建屋へ降ろし終えるまで、およそ3時間を要した。つり込み時は、上蓋がないため、本体重量は約820トンとなっている。

3号機圧力容器は、原子炉内蔵型再循環ポンプ採用が外観上も特徴となっており、原子炉内の水を循環させる大口径の配管をなくし、配管破断のリスクを低減している。また、大型クローラクレーンを採用した機器・構造物を一体化した据付・組立により、工事の安全・品質の向上、建設工期の短縮も図られている。

作業に先立ち、中国電力の清水希茂・常務取締役は、「発電所は地域の信頼あってのもの」と述べ、安全確保には十分留意し建設工事を進めることを強調した。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで