米企業が原子炉輸出へ インドの原子力サイト2地点に

インドを訪問していた米国のH.クリントン国務長官は20日、インドのM.シン首相との会談後に同国のS.クリシュナ外相と共同記者会見を行い、「インドの2地点で米国の複数の原子力企業による原子力発電所建設がインド政府によって承認された」と発表した。昨年10月に、ブッシュ前政権が民生用原子力分野における米印協力協定に調印後初めて、民間レベルでの協力が具体化することになった。

会見の中で同国務長官は、これら2地点の案件により、数十億ドル規模の米国製原子炉がインドに輸出され、両国に雇用を創出するとともにインド国民のエネルギー需要を満たすことになるだろうと強調した。地元紙の報道によると、これらの地点としては南部のアンドラ・プラデシュ州および西部のグジャラート州が有力だという。

ただし、同長官は米国企業がこれらの重要なビジネス・チャンスを確実なものとするために、今後インド側が賠償責任に関する立法を承認することを求めており、実際の輸出にはさらなるハードルが残されていることを示唆した。また、会談後に米国務省が発表した資料には、両国が今後、原子力協力協定の第123条項に従い、米国製原子炉から出る使用済み燃料の再処理について協議と手続きを開始する予定であることが明記されている。

記者会見の席でインドの地元メディアはクリントン国務長官に対し、「オバマ政権は供給国グループ(NSG)が定めるように濃縮と再処理の技術移転禁止政策を取るつもりか」と質問。同長官は、「明らかに反対しない。インドとの協定はまとまったばかりであり、インドの場合のように適切な手段の範囲内で注意深い保障措置の下で行われるのであれば、それは適切といえる」と述べた。承認を受けていない非適切な移転には当然反対する一方、正しい方法で行うことは可能との判断を示しており、非承認で危険な技術移転をいかにして防ぐかについて、インド側から意見を求めている最中であることを明らかにしている。


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