「日本の世界観示したい」 原子力委・国際専門部会 部会長に高木・青山学院大教授 日本がイニシアチブを 各委員が基本意見を表明

原子力委員会は第1回国際専門部会を23日、都内の如水会館で開催した(=写真)。

部会長には高木誠一郎・青山学院大学国際政治経済学部教授を選出、同氏は「原子力を外から見るだけ、または内から見るだけではなく、両者が議論して、原子力を巡る外交において日本が構築しようとしている世界観を示していきたい」と挨拶した。

事務局が原子力の平和利用にかかわる世界の状況について概説した後、各委員が自己紹介を兼ねて今後検討すべき課題を表明した。

「原子力は日本が強みを発揮できる分野なので、継続的に発揮できる工夫があるとよい」(秋池玲子・ボストンコンサルティンググループパートナー&マネージング・ディレクター)、「核軍縮は非核保有国こそ影響を受ける。外交面において日本のすべきことは批判形成」(浅田正彦・京都大学大学院法学研究科教授)、「日本が培ってきた技術・産業力・経験を活かし世界の原子力平和利用のイニシアチブをとっていくべき」(岡ア俊雄・日本原子力研究開発機構理事長)、「平和利用と核不拡散の観点から二国間協定の締結やIAEAとの連携など国際的な枠組みが求められる」(岡村正・東芝相談役/日本商工会議所会頭)、「国内問題とも併せ、国際的取組について枠組み論で終わらせず、具体的な姿を考えるべき」(各務雅博・電力中央研究所理事長)、「他国では核不拡散と技術開発は密接に関連づけて考えられている。その中で日本の姿勢を示していきたい」(古城佳子・東京大学大学院総合文化研究科教授)。

また「原子力政策大綱制定時に比べ国際的ビジネスの視点が強まっているが、企業任せでなく政府も関与すべき」(内藤正久・日本エネルギー経済研究所理事長)、「原子力政策大綱に示された方向性に加え、安全規制面の法整備等新たな課題へ対応できるよう調整していきたい」(内藤香・核物質管理センター専務理事)、「唯一の被爆国であることを強調し原子力平和利用を進める日本は特殊ケース。ガラパゴス化せずチームプレーが必要」(中西寛・京都大学大学院法学研究科教授)、「原子力に関して日本の鎖国化はあり得ない状況だ。我が国が原子力を維持するための道を技術的にも枠組み的にも探るべき」(山名元・京都大学原子炉実験所教授)などの意見が出された。

1年を目途に審議を行い、中間報告も予定。


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