チェコ電力、テメリン原子力発電所に 2基増設で公開入札開始

チェコ電力(CEZ)は3日、テメリン原子力発電所に原子力ユニットを2基増設するための公開入札を開始した。情報サーバ上でチェコ国内の公開入札者リストを公表したほか、欧州全土のウェブサイト上でも同様の発表を掲載する予定になっている。

CEZはまた、今回の入札でテメリンの2基用の要求項目とは別に、欧州域内の他国で最大3基の原子炉を建設するオプションについての要求項目を含めている。同社はかねてより、中・東欧など国外電力市場への進出にも積極的で、今年5月にはスロバキアのボフニチェ原子力発電所における新規原子炉増設計画で同国のヤビス社と合弁企業の設立契約を締結済みだ。

チェコでは現在、ドコバニ原子力発電所で4基、テメリン発電所で2基の原子炉が稼働中。CEZ社経営陣は、分析チームの2年間にわたる総合解析の結果に基づき、元々4基の原子炉建設が計画されていたテメリン発電所を完成すべきという結論に至ったもの。同発電所では新たな原子炉2基と冷却塔の建設に十分な敷地、既存のインフラが利用できる点を指摘した。

同発電所完成手続きの準備として、CEZ社はすでに昨年7月、2基増設に伴う環境への影響評価の実施を環境省に申請。公開入札はこれに続くステップだが、手続き全体の完了には7〜8年(原子力発電所の建設期間を含め約15年)かかると見込んでいる。

採用する炉型および出力は入札結果により決定するが、CEZ社としては耐用年数の長さや確かな安全と信頼性、操作性などの面を重視。第3世代か同プラスの軽水炉となるべきだとしている。

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ロシアとWH社が入札への参加を表明

CEZの発表を受けて、ロシアの総合原子力企業のロスアトム社は6日、この入札に参加する意向を明らかにした。

同社によると、チェコの増設計画について同社は非常に早い時期から入札準備を始めており、必要な文書はすべて期限内に揃えることが出来ると断言。同社はまた、CEZの入札要項に従い、テメリンの2基のほか、欧州の近隣諸国で最大3基の原子炉を建設する案件についても提案書を準備する。ロシアはすでに昨年秋、副首相のA.ズーコフ氏が、対チェコ投資協力の一環として原子炉新設計画への投資に関心を表明。ロシア国外での原子炉建設では、ロスアトム社傘下のアトムストロイエクスポルト社が主導的役割を果たす予定だ。

なお、東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社も、この入札に参加する意向を明らかにしたと伝えられている。同社はテメリン1、2号機の性能改善作業で、計装制御系全体の取替えや核燃料と補助機器の供給、放射線監視システムなどを受注した実績がある。


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