国際専門部会 国際展開、核不拡散など論点 日本の積極貢献に期待

原子力委員会は第2回国際専門部会を8月27日、開催した。前回に引き続き、事務局が我が国の原子力利用と国際対応の状況を説明した。

次いで、第1回部会で出された主な論点を(1)平和利用・核不拡散の推進(2)技術力の強化(3)産業の国際展開(4)温暖化対策の推進(5)国際貢献の推進――と暫定的にまとめた上で、さらに踏み込んだ意見交換を行った。

「日本の原子力は、軍事利用への疑惑がかかれば全てを失うというような条件の中、独自の立場を築いている。新興国へも核武装へのブレーキを」(和気洋子・慶應義塾大学商学部教授)、「日本が原子力技術の優位性を持つことが大事。安全・不拡散性を極めた再処理・保障措置などの技術で強みを発揮できないか」(山本良一・東大生産技術研究所教授)、「機微な技術移転について、主要原子炉建設実績国のそろう主要国首脳会議(G8)での話し合いに期待する。その際に日本はデモンストレーション的でなく実行力を伴った姿勢を示してほしい」(浅田正彦・京大院法学研究科教授)、「環境を含めたエネルギー問題としての議論と、産業政策としての原子力をどうするかという方向性が必要。主導権を持って国際的連携を」(岡村正・東芝相談役、日本商工会議所会頭)、「日本は部分としての技術にとどまらず全体のソリューションとして提供する能力が高いのではないか。ビジネスとしての視点、また人的貢献も重要」(秋池玲子・ボストンコンサルティンググループパートナー&マネージング・ディレクター)、「原子力をめぐる国際的なシナリオの中で実効性のある対策を打ち出すべき。セキュリティ面などで国際標準を意識した規制を」(各務正博・電中研理事長)、「日米協力体勢とアジアとの連携の二本立てで強化を。文系理系・国籍問わず幅広い考え方のできる人材育成も必須」(中西寛・京都大学大学院法学研究科教授)などの意見が出された。

また、「原子力分野は長期にわたり多方面からの協力も必要な事業なので国が総力を挙げて取り組むべき。日本のモデルが国際的に通用するのか常に検討し、パッケージモデルとしての提供も」(森詳介・電事連会長)、「日本の技術的優位性に危機感がある。ものづくりの基本を大切にしつつソフトパワーを伴う技術を。人材育成も戦略的に」(田中知・東大院工学系研究科原子力国際専攻教授)、「日本の国際的な存在感が低下しており、もっと情報発信を。また今なお一般的な日本人の原子力への理解が乏しい。教育の見直しや国内外へ向けた広報活動が必要」(柴田昌治・経団連資源エネルギー対策委員会共同委員長)、「日本の保障措置技術を活かし、IAEAなどでの国際的PRで日本のプレゼンスを上げられる。技術を輸出する際のひな形を作れるとよい」(古城佳子・東大院総合文化研究科教授)、「5つの論点に『エネルギー』『人材育成』の2点を追加したい。現在民間主導だが、外交方針の検討も含めて官民一体で国際的取組を」(内藤正久・日本エネルギー経済研究所理事長)、「ノウハウあっても人材・資金がなければ活かせない。また原子力が平和利用に限定されているということなどもっと周知が必要」(内藤香・核物質管理センター専務理事)などとする意見も出された。


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