JCO事故から10年 安全委、これまでの取組を総括 鈴木委長 「安全性をさらに確かに」

原子力安全委員会は9月30日、JCOウラン加工施設臨界事故から10年が経つのを契機に、「JCO臨界事故10年を迎えて――原子力安全委員会の取組状況について」をまとめた。事故の教訓を踏まえて、同委がこれまで講じてきた原子力防災対策、原子力安全確保の取組みなどを整理したもの。これに伴い、同日の安全委臨時会議(=写真)で、鈴木篤之委員長は「ルールは時として守られぬことがあり、むしろ守られぬ立場からの配慮も必要」とした上で、「制度、仕組み面での取組を積極的に図り、安全性をさらに確かなものにしていくことが重要」などとする所感を述べた。

臨界事故は99年9月30日、東海村のJCO社・転換試験棟で、濃縮ウラン溶液の均一化作業中、違法な工程による溶液注入から、臨界が発生、臨界状態は20時間にわたり継続し、大量に被ばくした2名の作業者が亡くなったほか、周辺住民が避難・屋内退避の事態に至るなど、国内外に大きな衝撃を与えた。

今回の取りまとめの冒頭、臨界事故発生直後の、安全委員会による事故収束のための対応、原因究明・再発防止に向けた検討などを振り返っている。事故原因の究明に関しては、吉川弘之・日本学術会議会長(当時)を長とする事故調査委員会を始動、11月5日、「緊急提言・中間報告」をまとめた。政府はこれを受け、早急に原子力災害対策強化のための法整備に乗り出し、12月13日、原子力災害対策特別措置法が成立、また、時期を同じくして、原子力施設の安全規制強化として、原子炉等規制法の改正もなされた。

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29日、直嶋正行経済産業大臣は、事故を踏まえた法整備、それに基づく取組などから、「徐々に国民の信頼も回復しつつある」とした上で、「事故の教訓を常に胸に抱きつつ、引き続き安全の確保充実に強い意識を持って取り組むとともに、万一の際の危機管理対応体制の確保に万全を期す」との談話を発表した。


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