イラン、第2濃縮工場の存在を公表 常任理事国らと直接協議へ

国際原子力機関(IAEA)は9月25日、イランで新たなウラン濃縮パイロット・プラントが建設中であることを確認したと発表した。これは同月21日付けでイランからIAEA宛に送られてきた書簡により明らかになったもの。それによると、同プラントの濃縮レベルは5%になる予定だが、現時点ではまだ、施設内に核物質は持ち込まれていない模様だという。

イランは今後、適切な時期に補足情報をIAEAに提供すると確約。IAEA側からは、さらに具体的な情報の提供と可能な限り早い時期の施設へのアクセスをイランに要請しており、同施設の保障措置上の確証要件を評価したいとしている。

同日、米ピッツバーグで主要20か国・地域(G20)による金融サミットを開催していた米国のB.オバマ大統領は、この件について翌日の26日に声明文を発表。「これは国際社会の核不拡散体制に対する重大な挑戦であり、事態の混乱を意図したイランの常套手段だ」と糾弾した。英仏首脳とともに第2濃縮工場の存在を確認した同大統領は、10月1日にジュネーブで予定されている国連安保理常任理事国とドイツによるイランとの直接交渉の場で、イランによる国際誓約違反を正し、国際社会に再び安全を保証するための具体的な行動を求める考えだとしている。

この声明文の中で同大統領は、イランが国際原子力機関に全面的に協力し、問題の施設が平和利用目的であることを実証するよう強く要求。イランの計画を糾弾するという点で米国は欧州の同盟諸国とまったく同意見であるほか、ロシアのメドベージェフ大統領との協議でも、イランの指導者は国際社会における責任を全うして協調していくか、さらなる圧力や孤立に直面していくかの選択を迫られるとの結論に達したとしている。

なお、25日の米政府高官によるプレス説明会によると、ナタンズにあるイランの遠心分離ウラン濃縮工場に続く第2濃縮工場について、米国は数年前からその存在の確認調査を進めていた。サイトはテヘランの南方に位置する宗教都市コムの近郊で、約3000台の遠心機を設置する設計。操業開始までには少なくとも数か月を要すると見込まれるが、年に1〜2個の爆弾製造に十分な兵器級ウランの生産も可能になるとの見解を示した。

同施設への査察については、常任理事国など国際社会ができるだけ早期の実施でイランに圧力をかける考えだが、いつ頃になるかなどの見通しは立っていないとしている。


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