放医研 ブロッコリの抽出物に 放射線増感作用を発見

ブロッコリーにがん予防効果があることが知られているが、放射線医学総合研究所(放医研)は、含まれるスルフォラファンという抽出物が放射線の増感作用があることを世界で初めて発見したことを発表した。将来的には、放射線と化学物質スルフォラファンとを併用するがん治療法が考えられ、新しい化学・放射線療法の可能性を期待できるという。

2008年に、放射線医学総合研究所で、スルフォラファンのみをがん細胞に投与するとDNAの二重鎖切断が起こることを発見した。しかし、これまでに放射線との相互作用を研究した例はなかった。そこで、放医研ではスルフォラファンが放射線の治療効果を増感する効果があれば併用によりがん細胞殺傷効果が高まり、がん治療の新しい可能性を拓くことが期待できると考えて研究を進めてきた。

典型的ながん細胞のヒーラ(HeLa)細胞(ヒト由来の細胞株)をスルフォラファンで前処理した後にX線照射をすると、スルフォラファンの処理がないものと比べて、細胞の生存率が有意に減少した。この結果は、スルフォラファンが放射線の効果を増感して、がん細胞が効率的に死滅したことを示しており、その後さらに増感の原因について研究を進めた。照射線量を少なくしても同レベルのがん殺傷効果が得られることも見出した。


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