米国とイタリア、原子力発電分野で協力 伊の軽水炉建設を支援米国とイタリアは9月29日、原子力部門における研究開発協力と産業協力を進めるため、2種類の二国間合意文書に署名した。イタリアにおける新たな原子力発電所建設に協力し、その実現に向けて一層具体的な道筋を付けるとともに、先進的な原子力システムや関連する燃料サイクルの研究開発で両国が協力関係を深めていくことになった。 1つ目の合意文書は、「原子力部門における産業・商業協力に関する米伊両国政府の共同宣言」。ここではまず、原子力が環境に優しく安全かつ確実なエネルギー源の1つであり、両国国民のエネルギー需要を満たし、温室効果ガスの排出を抑えるとの共通認識を明記した。 次に、核不拡散条約に加盟している両国が国際原子力機関(IAEA)の保障措置協定および追加議定書を受入れ済みであるほか、原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)に署名している点を確認。その上で、(1)原子力産業界が原子炉建設とその支援インフラに関する契約機会を模索していくよう奨励(2)原子炉建設および関連機器・サービスに関する契約締結が産業パートナーシップ上の商業的および技術的利益に基づくとの原則を推進(3)イタリアが今後建設する軽水炉で信頼の置ける燃料・サービス供給にアクセス可能となるよう国際社会を調整――などの点で合意している。 もう一方の合意文書は「民生用原子力研究開発の二国間協力協定」で、米エネルギー省(DOE)のS.チュー長官とイタリア経済開発省のC.スカヨラ大臣が調印した。 協力分野は、(1)低コストで安全性と拡散抵抗性に優れた次世代原子炉の設計(2)革新的原子炉の設計、製造、建設、操業、メンテナンス、廃止措置に関する技術(3)新型原子燃料(4)廃棄物の先進的な処理処分――など。ただ、ウラン濃縮や再処理、重水生産、およびプルトニウムを含む燃料の加工といった機微な技術については明確に排除した内容となっている。 協力形態としては、専門家やエンジニア、非機密扱いの科学技術情報の交換、試験用機器・設備や資機材の貸し出し、セミナーや会合の開催、共同プロジェクトの実施−−などを列挙。両国からの委員各2名からなる「二国間運営委員会」がこれらのプログラムを運営・管理することになる。 有効期間は5年間で、5年毎に自動継続される。 |
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