経産省、「広報強化月間」でシンポ開催 スウェーデンに学ぶ地層処分 決定プロセスの重要性指摘 処分地・エストハンマル市長ら招き

経済産業省は27日、東京・中央区の浜離宮朝日ホールで、放射性廃棄物に関するシンポジウムを開催、地層処分先進国のスウェーデンより関係者を招き、わが国における処分場確保に向けた推進方策について議論した(=写真)。

スウェーデンでは、サイト選定の調査で、候補地がエストハンマルとオスカーシャムの両自治体に絞られていたが、今夏、エストハンマルが最終的に選定された。同国の処分事業実施主体となるSKB社のC.テーゲシュトローム社長は、調査が中止となった地域での経験を踏まえ、住民に対する根強い理解活動に努め、処分地受入に至った経緯を振り返った。

続いて、エストハンマルのJ.スパンゲンベリ市長とオスカーシャムのL.ブロムベリ副市長が登壇し、自治体としての考えを述べた。

ブロムベリ副市長は、基本姿勢として、オスカーシャムには中間貯蔵施設「CLAB」が操業していることから、「廃棄物が既にわれわれの裏庭に存在し、何とかしなければならない」ことがあったのを強調。

スパンゲンベリ市長は、情報提供に努めていく必要を述べたほか、両自治体とも、「信頼を築くには時間を要する」として、決定に至るプロセスの重要性を訴えた。

ディスカッションに移り、進行役の井川陽次郎・読売新聞論説委員は、スウェーデンの状況について、「意志決定に際して、十分な議論がなされている」と、国内での制度設計に関わった森嶌昭夫・日本気候政策センター理事長も、「地域の理解が出発点」などと、選定プロセスにおける地域の意見尊重の重要性を述べた。

西川正純・前柏崎市長は、処分地候補となった同国の両自治体とも、すでに原子力発電所を立地していることが、住民の理解促進にどのように影響しているかを尋ね、テーゲシュトローム社長は、いずれの地域も地質学的に良好だった点に加え、「発電所がなければ、もっと時間を要したかもしれない」と述べ、受入にはプラスとして働いたという推測を示した。

苗村公嗣・経産省放射性廃棄物対策室長は、日本で処分地確保が進まぬ背景として、国民の関心が薄いことを、西川氏は処分地誘致に伴う風評被害をそれぞれ懸念する一方で、自治体に対し、「どんな町創りを望むか」と尋ねたところ、スパンゲンベリ市長は、「労働市場が拡大し、安定した地域としての成長が見込める」などと期待を述べた。


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