ブルガリア 財政計画の再構築へ 独社、ベレネ計画から撤退

ブルガリア政府は10月28日、ベレネ原子力発電所建設計画への出資を約束していたドイツのRWE社が、同プロジェクトからの撤退を通達してきたことを明らかにした。工事が中断した90年以来、昨年1月に約20年ぶりに建設再開が決まった同計画だが、新政権による大型プロジェクト見直しにより、早くも先行きは不透明な状況。今後は資金調達構造を再構築するためのコンサルタント選定が焦点となっている。

同計画では昨年12月、国営電力(NEK)とRWE社が出資率51対49で合弁企業を設立することで合意。2014年までに100万kW級のVVER(ロシア型軽水炉)を2基建設することになっていた。しかし、同国で7月に発足した新政権は10月8日、当初計画通りの比率で出資する考えはないと発言。RWE社側も近年の経済危機に加えて、特定されていた期限内に資金調達構造に関する最終合意文書に調印できなかったとして、撤退を通達してきたという。

国営ブルガリア・エネルギー・ホールディング(BEH)社によると、RWE社は事前合意の段階で、同計画における資金調達、エンジニアリング、および建設に関する最終合意に到達して初めて、NEKとの合弁事業を確約するとしており、今回の撤退表明により何ら財政的な責務を負わない。

ブルガリア国内では、今回の事態を招いた責任者としてT.トライコフ経済エネルギー観光相の辞任を求める動きも政府野党から出ているが、同相は同プロジェクトを完遂するため、資金調達計画再建に関するコンサルタントの雇用を急ぐと明言。すでに、デロイト社やウォーリーパーソンズ社などとの交渉を予定していることを明らかにした。

また、政府が今年初頭、RWE社との合弁企業用に拠出した3億ブルガリア・レバ(約210億円)は、主契約者であるロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社への支払いに回されることになった。

BEH社では、RWE社の撤退により、同計画を一時的に停止せざるを得ない点を認める一方、「計画全体を再検討する機会を得た」とし、新たな財政基盤への移行を強調した。再検討のために1年半ほどの時間を見ていること、すでにコンサルタントの選定基準案を策定中であることを明らかにしている。

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原子炉供給業者はベレネ計画の続行を確信

なお、主契約者であるロシアのASE社は10月29日、「資金調達構造の変更は同社の作業日程に影響を与えない」とコメントし、同社が今後も引き続きベレネ計画に携わっていく意向を表明した。

建設サイトではすでに、工事が中断する以前の古い構造物の解体が終了し、新たな建設の準備が進行中であるほか、エンジニアリング設計や安全分析に関する文書をNEKに提出済みだとしている。

ASE社は2008年にNEK社と総額40億ユーロの契約を交わしており、ベレネ1、2号機用VVERについては主要機器の寿命を60年に延長、90%の高稼働率、安全設計は欧州電気事業者要件(EUR)文書の技術規定を満たしている点を約束。また、両機の計装制御(I&C)系は、昨年11月に仏アレバ社と独シーメンス社が設立したCARSIB社が、空調システムや加熱器関係の安全系機器と合わせて納入する契約をASE社から受注している。


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