NEIが原子力拡大で 追加の融資支援を要請

米国原子力エネルギー協会(NEI)はこのほど、米国における原子力発電の拡大推進を目的とする政策提言を行い、融資面で連邦政府による追加支援立法の必要性を訴えた。

米国では今年6月に議会下院がワックスマン・マーキー法案を可決。現在上院がケリー・ボクサー気候変動法案を審議中だが、これらはともに、2050年までに83%の温室効果ガス排出削減を勧告。NEIによると、温暖化に対するこのような取組みについて複数の独立の機関が分析調査した結果、米国内の電力需要を満たしつつ温室効果化ガス排出を削減するには、今後30年から50年間にわたって原子力の大規模な拡大が必要だと結論付けられている。

まず米国環境保護庁(EPA)の査定では、ワックスマン・マーキー法案の排出削減シナリオに基づくと2050年までに原子力発電を150%(原子炉187基の新設に相当)拡大することが必要。同様にエネルギー省のエネルギー情報局(EIA)がワックスマン・マーキー法案を分析した結果、基本的シナリオで2030年までにおよそ70基の原子炉(新規の設備容量9600万kW分)が必要と予測されている。

NEIによると、こうした目標を達成するには連邦および州政府と民間部門の協力が必要だ。原子炉1基あたりの新設には60億から80億ドルかかるが、小規模の事業者が建設するにはこれだけの資金を調達する財務能力がない。州政府による適切な支援としては、「建設仮勘定(CWIP)」条項を州の規制法規に盛り込むなどして、新たなプラントの建設期間中に事業者が資金調達コストを顧客から回収可能にすることが重要。また、連邦政府からは融資保証における追加支援が特に不可欠だとしている。

このためNEIとしては、新たに恒久的な融資基盤となるクリーンエネルギー予算の設立を提言した。現在の連邦政府による融資保証プログラム予算は185億ドルであり、これでは明らかに不十分。原子力を含むクリーンエネルギー技術開発には、少なくとも1000億ドルを追加する融資保証プログラムが必要だと強調した。

このほかNEIは、新規原子力発電所認可プロセスの一層の効率化や、原子力発電設備の製造施設建設に対する税制上の優遇措置などを提言。上院法案に明記されているような、使用済み燃料中間貯蔵施設の自発的な受入れを自治体に促す支援対策についても法制化を要請している。


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