科学技術関連に「厳しい評価」 各界 事業仕分けに意見

政府の行政刷新会議による「事業仕分け」が現在進められており、科学技術関連予算についても厳しい評決が示されていることから、科学技術・学術関連への投資拡充を希求する提言等が各界より表明されている。

政府の総合科学技術会議の有識者議員らは19日、「科学技術予算の確実な確保について」と題する緊急提言を発表した。提言では、国として科学技術を「国家100年の計の下、長期的な視点に立って、継続的かつ安定的に科学技術政策を実施していくことが極めて重要」と述べ、成果の長期的な視点での効果を考慮しない、「短期的視点に立った評価」に警鐘を鳴らしている。その上で、海外主要国での科学技術予算増額の傾向、温室効果ガス削減目標達成に向けた科学技術の重要性を掲げ、「大胆な科学技術への投資」を求めている。

日本学術会議の金澤一郎会長も20日、「学術研究の重要性」と題する談話を発表、人文・社会科学を含む基礎研究から開発研究に至る広義の学術研究の重要性を訴えた。

東京大学など国内9大学の総長らは24日、学士会館(東京・千代田区)で合同会見を開き、「大学の研究力と学術の未来を憂う」との共同声明を発表、「大学の弱体化が国力基盤の劣化を招く」とした上で、(1)公的投資の明確な目標設定と継続的な拡充(2)研究者の自由な発想を尊重した投資の強化(3)大学の基礎的経費の充実と新たな枠組作り(4)若手研究者への支援(5)政策決定過程における大学界との「対話」重視――を求めた。

経団連の御手洗冨士夫会長も24日の会見で、「事業仕分けにおいて、科学技術関連予算が大幅に削減される事例が散見されることは残念。科学技術は資源の乏しいわが国にとっての成長の源泉」などと述べている。

野依良治氏などノーベル賞受賞者ら5名も25日、学術・科学技術への配慮を求める声明を発表した。


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