日本製鋼所 決算上乗せの見通し 原子力部門 上期好調

日本製鋼所(佐藤育男社長、本社・東京都品川区)は19日、東京都内で09年9月期の上期決算説明会を開き、世界的な不況が続いている中で、電力・原子力部門の半期売り上げ実績は224億円でほぼ当初予想通り、3月期の通期見通しも470億円と、前期365億円より105億円、当初予想よりも15億円上乗せできる見通しを明らかにした。

佐藤社長は同業他社との競争について、「大型で一体型の原子力部材の製造はそう簡単ではない。単品ではなく、多数の部材を安定的に供給できるかどうかが重要だ」と述べ、中期目標として、2013年3月期の電力・原子力部門の売り上げを750億円まで引き上げ、原子炉容器や蒸気発生器などの大型鍛鋼品の世界シェア80%を堅持する、と自信のほどを示した。

09年9月期現在の電力・原子力製品の受注残高は789億円で、そのうち、約7割が11年3月期以降の売り上げを予定している。さらに10年3月期末までに、受注は60億円弱増加し849億円を予想。全社の受注残高に占める電力・原子力製品の割合は約30%を占める。

同社は09年3月期から大型の設備投資計800億円を北海道の室蘭製作所で実施しており、原子力用鍛鋼品の生産能力を年間5.5ユニットから12年3月期には12ユニットまで拡張する計画。工場の拡張計画は順調に進んでおり、米国関係の見通しも経済不況の影響はいまのところ同社にはほとんどなく、佐藤社長は「計画は炉型の変更などもあって少し遅れ気味ではあるが、我々がいま製造している物の計画遅れは出ていない」と説明した。

ただ今後、設備投資が11年3月期にピークを迎え、それに伴う減価償却費も2012年3月期に180億円から190億円で最大となり、その後、徐々に減少することを予想している。


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