立地交付金は「容認」 使途拡大など改善へ 行政刷新会議 事業仕分け終了

政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の下に設置された3つのワーキンググループ(WG)は11月27日までの4日間、東京・市ヶ谷の国立印刷局の体育館で、来年度予算の各省概算要求額を削減する「事業仕分け」作業の日程後半を実施した。

第2WG(=写真)では26日に、経産省所管の研究開発費や、原子力安全基盤機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構などの独立行政法人交付金について、27日には電源立地地域対策交付金について審議し、いずれも「見直し」評定を下した。

電源立地地域対策交付金は、電気の利便性を享受している消費者が使用電力量に応じて課税され、電力料金と一緒に負担している電源開発促進税を財源に、電源立地点の地域振興や住民福祉のために都道府県、市町村に交付する「受益と負担の調整」措置。

経産省は、原子力発電所立地での同交付金の役割について、「国策に協力してくれる地域の労苦に報いて、信頼関係を築いてきた。(同交付金がなくなれば)約束違反と受け止められ、国への信頼の失墜につながる」と強調した。来年度、1149億円を要求している。

委員からは、病院ベッドの増床には使えても医者の人件費などには使えないのではないか、との指摘に対し、経産省側は自治体職員の人件費や借入金の返済などを除けば、自治体の判断で病院の人件費にも充当できると回答した。交付金対象には、当該立地市町村以外に隣接市町村も入るが、県境を越える隣接地の扱いについては、「交付金は最終的には県の判断となるので、県境の意味は大きい」とした。

財務省からの意見では、同交付金のうち電力移出県に対して、原子力だけでなく、石油・石炭火力による発電移出量もその算定基準に含んでおり、政府のCO削減目標との整合性を欠き除外すべきではないか、との指摘に対し、経産省側は、同交付金交付には原子力1.6、地熱・水力1.3、火力1.0の重み付けをしている現状を説明した。

また委員からは、同交付金の絶対額の必要性の有無について議論されていない、とする指摘もあった。

事業仕分けの統括役を務めた枝野幸男・民主党衆議院議員は、「3〜5年のうちに(温暖化防止策強化など)政策が変更になり、いま約束していたことが見直される可能性がある。いまから議論しておくべきだ」と述べた。

同評決では「見直し」とし、同交付金の使途については地方の裁量拡大、うち電力移出県交付金については、制度上ただちに大きく変えられないが、現状交付比率についてはCO削減の見地から見直す方向で検討すべき、と結論付けた。

経産省所管の研究開発費では、次世代軽水炉等技術開発(2分の1補助、来年度約12億円、エネルギー総合工学研究所が実施)が事業仕分け項目に入れられていたが、個別に直接の言及はなく、研究費全般について、「全体的なコストの縮減」が求められた。同省所管の原子力安全基盤機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構などの独立行政法人への交付金については、全独法に共通して「見直し」で、人件費、役員の公募など組織運営の効率化を求めた。


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