国際貢献 積極的に実施 科学技術予算優先度判定 ITERも「優先」

政府の総合科学技術会議は9日、来年度科学技術関係予算編成の方針決定に伴い、各府省の施策に対する優先度判定を合わせて発表した。資源配分方針として、環境と経済が両立する「グリーンイノベーション」の推進を最重要政策課題に位置付け、より戦略重点化を図り、メリハリの効いた質の高い予算編成を求めている。

優先度判定は、新規施策については重要度を「S」「A」「B」「C」の4段階、継続施策については「優先」「着実」「減速」の3段階で、それぞれランク付けし、評価に当たっては、各府省からの公開ヒアリング、パブリックコメントを実施。既に、行政刷新会議での事業見直しによる評価結果も示されているが、個別施策について、今回の優先度判定とは必ずしも方向性は一致しない。

本紙に関連する新規施策では、「S(特に重要で積極的に実施する)」に国際原子力人材育成イニシアティブ(文部科学省、概算要求額6億円)、「A(重要であり着実に実施する)」に原子力安全研究推進事業(内閣府、同1.8億円)、戦略的原子力技術利用高度化推進事業(経済産業省、同16億円)が該当。国際原子力人材育成イニシアティブは、「アジアの原子力先進国として国際貢献は重要」との意見があった。

継続施策では、ITER計画等の推進が「優先」、高レベル放射性廃棄物処分研究開発、次世代軽水炉等技術開発費補助金、J―PARC計画の推進、SPring―8の運営体制の構築、重粒子線がん治療研究が「着実」などとの判定結果。ITERについては、「エネルギー政策に位置付けるためには、高速増殖炉から核融合に至る道筋を明確にする必要がある」といった指摘があった。

総合科学技術会議が国家基幹技術に位置付けている高速増殖炉サイクル技術は、将来のエネルギー安定供給、COの大幅削減が期待できる重要な技術として、「着実に研究開発を推進し、本技術を早期に確立することが必要」と評価する一方、関係者間の綿密な協力・連携、十分な広報・広聴活動、人材育成・技術継承の面での配慮を指摘する総合的見解が示された。


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