文科省、次期中期目標見据え 原子力機構の事業見直し

文部科学省・独立行政法人評価委員会の科学技術・学術分科会(分科会長=門永宗之助・前マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン)と総会(委員長=同)は12月18日、相次いで会合を開き、次期中期目標・計画を見据えた日本原子力研究開発機構の事業等見直しについて審議した。総務省による指摘事項を踏まえたもの。

総務省はこのほど、今年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人を対象に、府省横断的立場から、主要な事務・事業の改廃について、指摘を行った。そのうち、原子力機構に関しては、「事務および事業の見直し」としてまず、高速増殖炉サイクル研究開発の見直しを指摘し、「もんじゅ」について、事故以来長く運転を停止し、施設の維持管理等に多額の経費が費やされている一方、研究開発が進まぬ状況から、「国民の期待と信頼を大きく毀損」としている。

その上で、@国民に対する十分な説明A研究計画・研究成果の明確化B事故等による研究開発の遅延の防止――を講ずるよう、今後の研究開発実施に当たって要求した。その他、民間研究機関や大学等、機構内の研究施設間で同種の研究施設・設備を有する場合は、廃止も含めた継続的見直しを、展示施設等についても、同一地域の複数施設存在を指摘した上で、展示以外の手段による理解促進方法の検討など、効率的な運営に努めるよう見直しを求めている。

この他、効率化目標の設定、給与水準の適正化なども指摘されている。

原子力機構は、05年10月の発足に始まる最初の中期目標・計画期間を今年度末で終了するが、文科省では、これら指摘事項、委員からの意見などを踏まえ、3月までに、次期中期目標・計画を策定することとしている。

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文科省では、今後の研究開発法人のあり方について、「国立研究開発法人」(仮称)制度の立ち上げなどを視野に、鈴木寛副大臣を中心とする懇談会で、有識者、関連法人との意見交換を通じ、検討を進めている。

08年議員立法で成立(共産党のみ反対)した研究開発強化法で、研究開発法人のあり方について、3年以内に必要な措置を講ずることが求められているほか、政府レベルでも行政刷新会議で独立行政法人の抜本的見直しの方向性が示されている。これらを踏まえ、研究開発法人の機能強化に向け、内閣府、総務省も交えたワーキンググループも始動している。

鈴木副大臣は、懇談会立ち上げに当たり、「国際競争に打ち勝っていく科学技術力」を向上させる法人作りを進めるべく、次期通常国会終了までには、何らかの方向性を示したいとしている。


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