仏原子力庁が名称変更 代替エネ研究も政府が牽引

仏国のN.サルコジ大統領は12月14日、原子力研究という仏原子力庁(CEA)の従来の役割に再生可能エネルギー研究も加えることとし、名称を「フランス原子力・代替エネルギー庁」(Commissariat a l'Energie Atomique et aux Energies Alternatives=略称のCEAは変更なし)に変更すると発表した。

これは同日、仏国の新規国債発行で賄われる政府の優先課題に関する説明演説の中で行われたもの。かねてより政府が誓約していた通り、原子力以外の低炭素エネルギー分野で実施してきた太陽光発電、水素製造、燃料電池、住宅・輸送用電気貯蔵、バイオマスからバイオ燃料への変換などに関する研究努力に対し、今後は原子力と同等の投資をしていくこととし、これらをCEAのミッションに加えたとしている。

CEAの2008年の総予算は、21億ユーロの民生用原子力研究プログラム予算を含めた35億ユーロ。このうち45%を政府が出資しているほか、35%は外部収入から、残りの20%は民生用および軍事用施設の廃止措置基金から賄っている。

サルコジ大統領が発表した優先課題のうち、50億ユーロが持続可能な開発への投資として計上されているが、このうち25億ユーロが低炭素エネルギーおよび再生可能エネルギーに、そして10億ユーロが将来の原子力開発に割り当てられている。ここでは、放射性廃棄物の発生量が少なく、少量の燃料で長期間の稼働が可能な第4世代の原子炉開発を目指すとしている。

また、高経年化対策や次世代炉の新素材開発用にCEAが08年にカダラッシュで建設を開始したジュール・ホロビッツ炉(JHR)(タンクプール型、熱出力10万kW)に対し、欧州で使われる医療用放射性同位元素の生産機能を重視して予算を増やすとしている。

記者会見で同大統領は、「CEAは原子力分野で比類のない技術的ノウハウを有するだけでなく、代替エネルギーの研究でも世界のトップレベルにある」と明言。新生CEAがその他の脱炭素エネルギー研究についても推進していくよう希望するとの見解を表明した。


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