【展望】成熟社会への意識転換を 電気の安定供給は日本の生命線

日本の未来は、いかなる方向に向おうとしているのだろうか。

戦後の右肩上がりの高度成長期を経て、幾度の不況も乗り越えながら、今日までに至っている日本は、「近代化」「民主化」「豊かさ」などにおいて、一応の成功モデルと評される姿を実現したと言ってよいだろう。だが、その姿は明らかに今までとは異なる異質さで少しずつ変化し始めており、明治維新や太平洋戦争後のような大きな変動期と比べたら、その変化は一見小さなものと見られるが、しかし後になって、あのときがターニング・ポイントだったと思われるときがくるのではないか、そういう思いを強くしている。

日本は、労働人口が減り、少子高齢化へのスピードを速めながら、人口減少時代に突入した。今年には、自動車の販売台数だけでなく、国内総生産(GDP)でも世界第2位の座を中国に明け渡すと予測されており、1人当たりのGDPも2000年をピークに減少を続けている。

このような状況の中で、日本が考えるべきことは、政治、経済、技術、文化などあらゆる面で、「成熟社会」への道にいかに賢くハンドルを切り、大競争時代の中で、生き抜くすべを見出すことができるかだろう。その形は地球環境の保全までを考慮した「循環型社会」の実現であり、そのとき全国くまなく張り巡らせた送電・配電網を通じてエネルギーを供給する安全で便利な電気は、いま以上に重要なものとなろう。


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