冬季工事などに工夫と改善 環境調和に配慮したデザインも

泊3号機は同1、2号機での経験を踏まえながら、最新技術を導入、安全性、信頼性などを向上させている。

建屋の配置構成は、泊発電所1、2号機と同様にI型配置と呼ばれる配置とした。タービン建屋が原子炉建屋及び原子炉補助建屋に対して直角になる配置で、建屋相互の干渉が少なくなり、主蒸気管を短くできるなど、コストや工期で有利な面を備えている。

雄大な自然に調和する景観デザインにも工夫を凝らした。学識経験者による指導や地元アンケートなどを実施し、敷地周辺の環境と調和する景観デザインとした。原子炉建屋にはグリーンを基調にしたデザイン、またタービン建屋なども違和感のないデザインにしている。

泊3号機は、91万2000kWの電気出力で先行3ループプラントに比べ熱効率を向上させている。蒸気タービン設備を高性能化したことはその要因のひとつ。高圧と低圧からなるタービン設備のうち、低圧タービン最終翼に国内で最大となる54インチ翼を採用し効率向上をはかった。また冬場の海水温度が低いため復水器真空度が高まって同じ熱出力から、より大きな電気出力が得られるといった条件が効率向上に寄与した。

運転監視機能や操作性の向上として、最新の総合デジタル技術を盛り込んだ運転制御盤を採用。ほぼ全面にタッチパネルを用い、機器の操作スイッチとその操作に必要な運転情報を一画面内に集約して表示する。

さらに万一プラントに異常が発生した際には、プラントの状態や機器の動作状況を自動的にチェックして、必要な情報を提供するなど、運転員を支援し運転員の負担を軽減するシステムを搭載した。

また、従来に比べて、大きさを5割程度削減し、運転員の移動距離を短くするなど運転性を向上させた。

原子炉建屋など主要な建屋は冬の来る前に先行して鉄骨を組み立てて、なかに作業場を養生して、作業を途切れなく行った。

平成17年に実施された原子炉格納容器の建設は、1年間(春から秋の間)で終了させるために建設工事工程の短縮を検討し、直径40メートルもの原子炉格納容器の頂部半球部を地上で組立て、一体吊り込みという初めての工法を採用した。

この工法は、現場で組みあがる原子炉格納容器の円筒部と、その上に搭載される頂部半球部とが、別々に組み立てられて、両者を合わせて仕上げるというもので、高い技術を求められる作業だったが、計画通り完了させた。

平成19年には原子炉容器などの一次系主要機器、二次系のタービン発電機等の据付など相次ぎ、建設工事は最盛期を迎えたが、滞りなく進捗した。主契約者の三菱重工はじめ三菱グループなど関係企業が最新技術と知見を随所に盛り込んで、プラントの性能向上や工程通りの作業進捗を支えた。

「特別なことをするということではなく、建設に携わる関係者が、協力企業含めて一体となって安全を最優先に、また効率的に作業を進めてきた」と現場の安全を預かってきた北電の技術担当者は話す。運転を開始して以降もそれは変わらない姿勢だ。

「1号機から3号機まで、安全で安定した運転を日々守っていく。そのために協力企業を含めてコミュニケーションをしっかりとっていく」。

これまで、泊発電所内で、建設、運転の安全を期して浸透させてきたスローガンがある。「A当たり前のことを、Bボンヤリせずに、Cチャントやる」いわゆる“ABC 運動”だ。

同発電所内にいま掲示されているこのスローガン。今後も日々、現場の安全確実な作業に徹底される。


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