フランスと中国 台山原発計画で合弁

フランス電力(EDF)は12月21日、中国・広東省の台山原子力発電所に175万kWの欧州加圧水型炉(EPR)を2基、建設・操業するための合弁企業「広東台山原子力会社(TNPJVC)」を中国の広東原子力発電グループ(CGNPC)と設立すると発表した。

これは仏国のF.フィヨン首相の公式訪中に合わせ、中国政府当局から最終承認が得られたことによるもの。TNPJVCの設立構想は昨年8月に公表されており、同社の登記資本金167億4000万元のうち、30%にあたる約50億元をEDFが今後50年間にわたり出資する。台山1号機の設計は仏国のフラマンビル原子力発電所で現在建設中の同3号機をモデルとしており、世界初のEPRとなるフィンランドのオルキルオト3号機から数えて3基目のEPR。完成は2013年後半を予定している。

なお、関連の計画としては、仏アレバ社も原子炉系統(NI)部分のエンジニアリングと機器調達サービスを統括する「WECAN社」をCGNPCと合弁で設立する。こちらの出資比率はアレバ社が45%、CGNPCが55%となっており、深センを本拠地に従業員数2000人程度で今年から業務を開始する。

ただし、このNIエンジニアリングおよび機器調達サービスは、WECAN社が中国国外に提供する可能性もあり、両社はこの件についても協定を結ぶ。アレバ社はこのほか、CGNPCと中国で建設する原子炉用の冷却ポンプ24台の供給契約を、子会社であるアレバ東方社を通じて約2億ユーロで獲得済み。技術供与しつつ機器供給の機会を得るなどして、今後も中国との関わりを深めていくと見られている。

フィヨン首相は演説の中で、両国の協力関係が25年前、広東省での大亜湾および嶺澳の両原子力発電所建設にさかのぼる点に言及。こうした協力の後に中国がCPR1000など、国産標準型炉の開発に繋げていったことを評価し、同分野においても仏国企業が貢献できると強調した。

同首相はまた、今回設立が決まった2つの合弁企業により、中国で初めて第3世代原子炉であるEPRの建設が具体化することを祝福。燃料リサイクルの可能な同設計を選択した中国が、使用済み燃料の再処理・リサイクル施設も運転できるよう、仏国で確証済みの技術をもって協力していきたいと述べた。

同首相はさらに、広東省の中山大学が仏国の有名工科大学の連合と協力協定を結び、中山大における原子力工学科設置も含め、両国の原子力事業者による財政支援の下で来年から原子力エンジニア育成計画に取り組んでいくことを明らかにしている。


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