米CPSエナジー、 STP増設で 東芝の再見積り額を検討

米国のCPSエナジー社は4日、サウステキサスプロジェクト(STP)原子力発電所3、4号機増設計画について、事業パートナーである東芝から経費の再見積りが提示されたことから、これを厳密に分析審査した後に同計画への参加について判断を下すと発表した。

CPS社はテキサス州サン・アントニオ市の公営電力で、ニュークリア・イノベーション・ノースアメリカ(NINA)社(=東芝と米国のNRGエナジー社が12対88の比率で出資する合弁企業)と折半で、STP発電所に東芝製135万kW級ABWR2基を増設する計画を進めていた。しかし、昨年6月時点で100億ドルとされていた見積り価格(資金調達コストを含めると130億ドル)が、10月下旬に40億ドル上方修正されたとの情報を受け、CPS社は東京で東芝幹部と直接協議。「経費の増大は受入れられない」として、昨年末までに価格の改訂版を提出するよう東芝に要求していたもの。

その後、CPS社とNINA社の関係は法廷闘争に発展しており、CPS社は昨年12月6日、増設計画から撤退した場合に同社が負うべき法的義務と責任を明確にするよう裁判所に申し立て。これに対して、NRG社は同月23日、CPS社がこれまでに投資した3億ドルを放棄して正式に増設計画から撤退するか、同計画への出資を継続するかの選択を迫った。

CPS社は申し立ての争点を「NINA社の詐欺的契約に誘い込まれた」に変え、少なくとも320億ドルの損害賠償金を支払うよう請求しているが、今回東芝が提示した再見積り額については「範囲内で明確な構造になった」と評価。今後、数値の積み上げ方式などを数日間かけて適正に精査・分析し、市当局にも周知して去就を判断するとしたもの。

NINA社は昨年の時点で、STP増設計画が米エネルギー省(DOE)による融資保証制度の適用を受ける2計画の中の第1候補になっていると明言。CPS社による判断の遅れは、STP計画が後続の新設計画に取って替わられる危険性を招くと警告しており、今後の動静が注目される。


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