放射線審議会・部会中間報告まとめ 「職業被ばく、線量拘束値の設定必要ない」

放射線審議会の基本部会は19日、国際放射線防護委員会(ICRP)2007勧告(パブリケーション103)の国内制度等への取り入れに関する中間報告案をまとめた。07年勧告は、同年3月にICRP主委員会が出したもので、1990年に出した勧告に代わるもの。90年勧告で示された放射線防護の原則(正当化、最適化、線量限度)を維持し各原則の適用を明確にしたほか、生物学や物理学の最新知見を入れて放射線に関する係数(放射線荷重係数と組織荷重係数など)等を見直している。

基本部会では、勧告の内容を把握し、90年勧告との比較を行いながら国内制度等への取り入れに関する検討すべき事項と問題点を検討してきた。女性の放射線業務従事者に対する線量限度、測定頻度や、健康診断に関する問題等も検討し、中間報告に考え方を盛り込んだ。

07年勧告の取り入れに関して、議論してきた課題のうち、計画被ばく状況における職業被ばくの線量拘束値(ある線源からの被ばく線量をできる限り低く(最適化)するための制限値)については、規制当局の関与、値の設定に対応する必要はない、との考え方を盛り込むこととした。

また計画被ばく状況における公衆被ばく(線量拘束値)は、保守的な安全評価がされているならば、現状の線量限度や放射能濃度の上限値であって問題ないとの考え方を示した。

緊急時被ばく状況について、職業被ばくは07年勧告の参考レベルの考え方に基づき検討、公衆被ばくは同勧告の考え方を取り入れるかどうかの検討が必要、と今後の検討事項をあげた。

報告案はまた、女性の放射線業務従事者に対する線量限度、測定頻度は、線量限度に男女の性差を考慮する必要はないと考えられるが、90年勧告時の取入れの考え方、取入れ以降の管理の状況を踏まえて検討する、とした。女性の従事者の実効線量(5mSv/3月)を国内の関係法令で定めているが、07年勧告では特別な線量限度の要求はない。そこで報告案は、90年勧告の取入れの際の考え方や現状の問題点を踏まえて放射線業務従事者の線量限度の管理方法も含めて検討することが必要、とした。

健康診断の問題については、線量限度が担保されていれば、定期的な健康診断は、特に必要ない、との考え方を示した。

同部会では、同日の会合で各委員から出されたコメントを反映し、中間報告案に盛り込む。報告案にあげた検討事項で重要な事項等を整理して今後、基本部会などで具体的な検討を進めることになる。


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