カザフのウラン生産量 09年実績で世界第1位に

  

カザフスタンはこのほど、2009年のウラン産量で世界の第1位になったと発表した。速報値でカナダと豪州両国の予定生産量を凌ぎ、08年実績を63%上回る約1万3900トンを生産したとしている。

国有原子力企業カザトムプロム社によると、同社傘下の鉱山会社は昨年12月21日までに1万3500トンのウラン生産年間目標に達したと報告。これに加えて、少なくとも400トンが年末までに生産される。ウランの指標価格を公表している米UX社の予測によると、生産量で例年、世界の第1位と2位を占めるカナダと豪州で、09年のウラン生産量はそれぞれ約9934トンと約8022トン。このことからカザトムプロム社は、09年は同社が世界をリードするウラン生産国になったとしている。

現在カザフスタンでは、原位置抽出(ISL)法による21のウラン鉱山が操業中。カザトムプロム社は09年の良好な実績は、新たな鉱山の開発と既存鉱山の生産能力向上により達成されたと指摘しており、昨年4月には、日本の電力会社や商社が権益を所有するハラサン1鉱山が正式に操業を開始したことを明らかにした。

同社はまた、08年から09年前半にかけてはISL法に不可欠な硫酸の供給に重大な技術的問題が生じたにもかかわらず、同社および亜鉛鉱業企業のカズジンク社や銅鉱業企業のカザクマイズ社の努力により、目標の生産量達成に至ったと強調。今後、原子力産業が発展し続け、二次供給源からのウランが減少する限り、2016年以降は世界で天然ウランの不足が予想されるが、カザフはその時に備えて10年までに1万8000トンまでウラン生産量を増加させる計画であり、ウラン需要のピーク時においても世界一のウラン生産国になると明言した。

同社では核燃料サイクルの全段階にわたって垂直統合された組織体系の構築を戦略目標としており、ウラン1キロ当たりの利益が最大となるよう、付加価値の高い生産品を輸出していく考え。現時点では、世界の原子力市場における主要国との合意に基づいてこの戦略を進めていくとしている。

今年はさらに、新たな高度科学技術集約型の計画にも着手する予定で、とりわけ日本企業と共同で進めるレアメタルとレアアースの回収事業に力点を置く。ウラン鉱山地域およびその隣接区域の開発も継続する方針で、今年はこれらのプログラムに30億カザフスタン・テンゲ(2000万ドル)の投資を計画中だ。


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