三菱重工と南アPBMR社 小型高温ガス炉を共同開発へ 750℃の加熱水蒸気供給三菱重工業は3日、南アフリカ共和国のPBMR社(J.クリーク最高経営責任者)と従来より小型のペブルベッド・モジュール型高温ガス炉(黒鉛球状燃料、ヘリウム冷却)を共同で開発することを検討していくことで合意し、そのための覚書(MOU)を締結した。今後、具体的な協力分野を調整していく。当面は同社が開発中のPBMRである熱出力20万kWプラントの設計において協力可能な分野を検討する。また将来的には、プラントの建設、市場開拓などでも協力を模索していく方針。 今回の共同開発のねらいは、従来、南ア国営電力会社(ESKOM)が2014年にも導入しようと計画していた電気出力16万5000kW(熱出力40万kW)、高温ヘリウムガスで直接ガスタービンを回して発電する実証プラント計画を変更し、熱出力を半減させたもの。 同プラントは、熱出力20万kWのペブルベッド型炉と750℃の水蒸気を供給する蒸気発生器で構成される小型高温ガス炉で、炉心溶融の心配がなく、安全性が高いのが特徴。また、初期投資が少なくて済み、送電線が本格的に整備されていない地域にも適したプラントとして位置付けている。具体的には、熱出力20万kWプラントの設計における協力分野が決定され次第、三菱重工業が研究開発の一部を実施する。 同国の化学メーカー大手のサソール社のほか複数の潜在顧客が導入を検討しているもので、早いものでは、運転開始を2020年ごろを目標としているという。 PBMR社は、PBMR開発プロジェクトを担うため、1999年にESKOM社が大株主となって設立した原子力エンジニアリング会社で、三菱重工業は01年にPBMR開発計画に参画して以来、同社と良好な協力関係を保ってきている。同社は今回のMOU締結を機に、PBMR社との協力関係を一層強めつつ、PBMRの研究開発と市場浸透に一層積極的に取り組んでいく、としている。 |
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