韓国、2030年までに80基輸出を計画 −「原子力発電輸出産業化戦略」で報告−韓国の知識経済省(チェ・ギョンファン長官)は1月13日、大統領主催の第42回臨時経済対策会議で「原子力発電輸出産業化戦略」を報告し、今後予想される世界の原発市場に積極的に対応し、原子力産業を新たな輸出産業として本格的に育成する方針を表明した。2030年までに原発輸出80基、世界新規原発建設でシェア20%をめざす同省の報道資料から重点推進対策の概要を紹介する。 @ 国別オーダーメード型原発の輸出及び原発運転・メンテナンス市場への積極的進出 ▽今回UAEのようにターンキー発注の原発建設が可能な国家に対しては、政府間協力などを通して原発プラント輸出を持続して推進 ▽建設物量は多いがプラント輸出に制約要因があり技術移転等を要求する隙間市場に対しては、資機材及び役務輸出に注力するが、中長期的に制約要因の解消も並行して推進 ▽原発導入基盤が脆弱な国家に対しては、人材養成などインフラ構築を支援、韓国型原発の進出基盤を造成 ▽新規建設以外にも韓国の持っている世界最高水準の原発運転・メンテナンス能力を活用し、総額88兆ウォン規模の高経年原発の運転・メンテナンス市場に積極的に進出 ▽優先的にユニット設備改良及びメンテナンス技術の輸出を推進し、中長期的に運転実績が低調もしくは高経年原発の買収(または持分参与)後、運転・メンテナンスにより利益を創出 A 原発技術の自立化およびグローバル競争力の向上 ▽2006年から着手したコア技術〔注1〕の自立化および国産新型原発(APR+)開発〔注2〕を、追加所要財源(総額996億ウォン)確保及びR&D人材補充などにより、2012年までに問題なく早期達成 ▽開発された中核的技術は新規建設原発(新蔚珍1、2号等)に優先適用 ▽韓国型原発を世界的なプレミアム原発として一段階アップグレードするための新規R&Dプロジェクト〔注3〕(2011〜2017年、総額4000億ウォン投入、官民共同)を推進 ▽これらを通じ、原発の寿命を60年から80年へ延長し、建設工期も現行52か月から36か月へ短縮して、原発炉心の損傷頻度も10倍改善の見込み ▽欧州、米国などへ進出するため、韓国型原発を欧州及び米国の設計基準に合わせ補完するR&D支援も拡大 ▽韓国型原発が欧州及び米国の設計要件を充足するための技術開発支援の拡大(欧州… 225億ウォン→350億ウォンなど) ▽中小型原発及び研究炉輸出型モデルを早期開発し、超高温ガス炉(水素生産用)など未来型原発開発も推進 B 原発専門技術人材の養成 ▽輸出、技術開発などのため原子力公企業〔注4〕は2011年までに約2800名〔注5〕を追加確保する必要があるとの調査結果および原子力公企業の組織診断(2009年12月〜2010年1月)を通して定員調整及び新規採用を拡大 ▽原発輸出及びR&D人材は定員調整以前でもすぐに充員 ▽理工系の卒業予定者及び卒業者をインターン社員として選抜して教育訓練させ、現場ですぐに活用可能な原発技術人材予備軍を確保すると同時に、若年失業も解消 ▽韓国水力原子力は2012年までに計1000名を選抜する計画であり(2010年上半期に200名を第1回選抜)、選抜された人員は集合教育(3か月)と現場教育(6か月)を受け、その後の新規採用時に総人員の50〜60%内で優先的に採用 ▽世界最初の「国際原子力専門大学院」を当初計画(2012年3月)より早めて2011年9月に開校し、年100名(韓国人50名、外国人50名)の博士級専門人材を養成 ▽外国人材は東南アジアなど原発の導入基盤が脆弱な国家を対象に選抜、韓国型原発の海外進出基盤を強化 ▽原発に特化する大学を指定し(10か所)、原子力産業界の需要に合った実務型人材養成なども推進 C 原発燃料の安定的確保 ▽国内原発及び海外原発輸出に必要な〔注6〕原発燃料(ウラン)の安定的確保〔注7〕のために、海外鉱山の持分引受などで自主開発率(2010年、6.7%)を2016年に25%、2030年に50%まで大幅拡大 ▽海外濃縮工場の持分参与の拡大および国内の成型加工生産施設の拡充(韓電原子力燃料…2009年、950トン→2015年、1400トン)などを通して、安定的な供給能力の拡充なども推進 D 原発の中核的資機材の供給能力拡充 ▽原発の供給能力で最も重要なもの〔注8〕は原子炉設備であり、現在供給能力は大きな問題がなくとも、追加の原発受注に備え供給能力を拡充する必要があるため、外国有数の事業者との戦略的提携及び国内企業との合作投資などを通じた競争供給体制の導入・誘導などを推進 ▽高付加価値の中核的資機材を中心として高級R&D人材供給〔注9〕、技術開発の支援〔注10〕、事業化まで支援し、原発専門及び中堅企業を育成 ▽調達側企業(韓国水力原子力〔注11〕、斗山重工業〔注12〕など)と中小資機材業者間の相互協力強化により、大・中小企業の相互成長を推進 ▽韓国水力原子力などは優秀な中小事業者に対する技術開発、資金、品質管理支援、海外共同進出計画などの相互協力パートナーシップ体系を構築 E 輸出型原発産業体制の強化 ▽短期的に韓国電力内の原発輸出専門担当組織の新設により輸出の総括調整機能を強化し、韓国水力原子力、韓国電力技術など原子力公企業の輸出支援組織も補強 ▽中長期的に垂直系列化された原発事業体系の構築なども検討 ▽中長期的に米国、中国など大型市場への進出のため、主要な世界原発企業との戦略的提携なども検討 ▽UAE事業を機会に豊富なUAE資金と韓国の技術力を連携させ、原発インフラと財源が不足している国家へ共同進出する方案なども推進 今回の「原子力発電輸出産業化戦略」の期待効果として、2030年までに新規原発80基、受注規模は総額4000億ドルとし、昨年度の韓国全体の輸出規模(総額3638億ドル)を上回る輸出拡大が予想される。これを通じて、総計156万7000名の雇用効果(毎年平均7万5000名)と、総額26兆7000億ウォンの原発資機材中小企業の売上拡大が期待される(=下表)。 チェ・ギョンファン知識経済部長官は今回、原発輸出産業化戦略を計画し、今後50年間の新たな基幹産業を育成する礎を築いた。絶え間ない技術革新と新たな人材育成が成功の鍵であり、このため政府の力を集中する計画。就職難に直面している若者たちが原子力という専門分野で働き、海外へ進出できるようになり、若年失業の問題解決にも大きな助けになる。原発資機材中小企業にも多くの恩恵が巡り、市民経済及び中小企業に多くの活力を吹き込むと期待する」と表明した。 〔注1〕原発設計コード、原子炉冷却材ポンプ(RCP)、原発計測制御装置(MMIS) |
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