スペインの中間貯蔵施設 13市町村が誘致表明

スペインの通商産業・観光省は3日、国内の原子力発電所から出る使用済み燃料および再処理からの返還高レベル放射性廃棄物(HLW)の集中中間貯蔵施設(ATC)建設で、国内の13市町村から誘致の申し出があったと発表した。

脱原子力政策を堅持するスペインでは現在、新規原子炉の建設は禁止されているが、既設原子炉8基からの廃棄物は最終的な管理方策が決定するまでの間、ATCで保管する方針。使用済み燃料は直接処分が基本方針だが、閉鎖したガス炉の使用済み燃料だけは仏国に再処理に出ていた。昨年12月の政府の呼びかけに応じて1月末までに13市町村が誘致を申し出たが、このうち、タラゴナ地方のアスコとグアダラハラ地方のジェブラ、およびバレンシア地方のサッラは、既存の原子炉が稼働中か、かつて稼働していた土地柄だ。

2004年12月、議会下院の通商産業観光委員会は、政府に対して国有放射性廃棄物管理公社(ENRESA)と協力し、ATCの建設に必要な基準を策定するよう勧告する決議を全会一致で承認。06年には第6次総合放射性廃棄物計画が閣議決定され、2010年頃のATC操業開始を目指して、ATCおよび付属の技術センターの立地に関する基準策定を目的とした関係省庁委員会の設置が承認された。

今後の手続きとしては、この関係省庁委員会が13市町村の申請を審査し、最終候補地リストを作成する。しかし、これら市町村を擁する自治州のいくつかではATCの誘致に反対しているとの報道があり、すでに誘致申請の取り下げを政府に要請した市町村もあると伝えられている。最終処分場計画では、10年近く続けた深地層処分サイトの選定プロジェクトが中途で頓挫・凍結されていることから、ATCのサイト選定も同様に難航することが予想される。

ATCの設計計画では、6700トンUの使用済み燃料と、再処理後のHLWのガラス固化体13立方メートル、および2500立方メートルの中レベル廃棄物のパッケージを、全長283メートル、幅78メートル、地上からの高さ26メートルという統合施設に60年間乾式貯蔵。廃棄物入りのキャニスターを輸送車両から降ろすための受け入れ建屋やサービス建屋などに合計13ヘクタールを予定している。また、付属の技術センターではHLWの管理計画や関連の研究開発プロジェクトを実施するため、7ヘクタールの用地が充てられる。

ATCの建設予算は7億ユーロと見積もられており、工事の第1段階となる最初の5年間で、毎日約300名、ピーク時には約500名の作業員を投入するとしている。


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