英印が原子力協力宣言 インドに機器・技術輸出支援へ

英国とインドは11日、ニューデリーで民生用原子力協力に関する共同宣言に調印し、英国からインドへの民生用原子力機器および技術の移転を含めて、原子力平和利用分野における両国間の協力関係を前進させていくことになった。

同宣言の文言については、すでに今月初頭、民間企業・規制改革省(BIS)のP.マンデルソン大臣とインド商業省のA.シャルマ大臣がロンドンで合意していた。英国では現在、国内で建設する新世代の原子炉計画のため、官民が一体となって国内供給チェーンの拡大強化に努めているが、これと同時に国外の原子力開発計画でも輸出の機会獲得を狙っていく方針だ。

英国は、2008年9月に原子力供給国グループ(NSG)がインドへの平和利用目的の原子力機器・技術の移転を許す決定を下したのに伴い、同年11月、過去6年にわたった同国へのトリガーリスト品と汎用品の禁輸措置を解除。BISは今回、宣言の全文を公開していないが、NSGも含めた国際的な核不拡散誓約に従ってインドに原子力機器・技術の移転協力を行うとしている。

調印後のステップとしては、3月にインドから2つの上級代表団を英国に招き、両国間の協力を実質的に始動。まず初旬に、インドとUAEの新規原子炉建設計画に焦点を当てた大規模な国際会議を英国で開催する。ここではインド原子力発電公社(NPCIL)の幹部が出席し、今後数年間のインドの原子力プロジェクトと技術開発計画を設定。他にも15か国の原子力リーダーが参加して、英国の原子力産業界が新たな連携関係を構築するとともに、競争力を実証するための基盤が提供されることになる。

また、3月下旬にはインド学界の上級学者を英国に招聘し、英国の学者らと協議の場を持つ。英国政府が資金提供している工学物理学研究会議の補助金100万ポンドで、この分野の研究を2年計画で促進することになる。

一方、英国からは今年後半に、多くの供給チェーン企業の幹部を英国貿易投資総省の代表団としてインドに送る予定だ。

BISによると、英国の原子力産業は海外事業で年間7億ポンドの収益を上げており、原子力供給チェーンに属する雇用者数は8万人にのぼる。世界で最初の商業炉を建設して以来50年、英国の原子力機器・サービス企業は原子炉の設計、建設、管理で長年にわたる実績を有するとともに、原子炉の寿命延長や廃止措置でも経験があるとBISは指摘。新世代の原子力技術への投資が同国の重要な戦略である点を強調した。


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