イタリア 原子力新設法案が閣議決定 サイト選定は地元参加が原則

イタリア政府は10日、新規原子炉と廃棄物処理場のサイト選定基準および認可手続きを定める法令案を閣議決定した。2013年までに新規原子炉の建設に着手し、20年までの完成に道筋を付けるものだが、受入れサイトの選定には公開協議の実施など地元住民と自治体の参加が必要。ベルルスコーニ政権の意思とは裏腹に、同国では地方によっては反原子力の意見が未だに根強く、手続きが長期化することも予想されている。

C.スカイオーラ経済開発相によると、イタリアに原子力を再導入するためのロードマップとなる同法令は、同国のエネルギーの供給保証と8割を超える輸入依存軽減を最大の目標としている。先進8か国の中で唯一、原子炉を持たないイタリアにとって、発電コストが低く温室効果ガスを出さない国産発電システムを持つことは長期的なゴール。原子力はそのために現政権が取った戦略であり、将来的には総電力需要の25%を原子力で賄う計画だ。

主な特徴は、(1)手続きの透明性(2)環境および地元住民の安全確保が最優先−−で、方針決定までのすべての段階で地元住民や団体の意見を尊重するとともに、地元住民の健康や環境を防護するため、最も厳しいレベルの安全基準が盛り込まれる。

このほか、同法令に明記されている点は次の通り。すなわち、サイトは法令の定める一般的な規準に則って事業者が適性のある地区を特定する。許認可手続きは個別の原子炉ごとに、地元の意見を聴取しつつ進める。地元への経済的便宜は原子炉の建設・運転事業者が支払うこととし、市町村が徴収しているゴミ処理税や個人所得税、固定資産税の控除を通じて行う。廃止措置は国営の原子力発電所管理会社(SOGIN)が担当し、特別基金を通じて経費を支払う。国営廃棄物最終処分場を含むテクノロジー・パークの建設・操業に要する手続きを規定する――などだ。


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