UAE、原子力計画推進で国際諮問審議会を設置 日本から服部原産理事長が参加

アラブ首長国連邦(UAE)政府は22日、同国の原子力平和利用で安全性の審査などを適切に進めていく諮問機関として、H.ブリックス元国際原子力機関(IAEA)事務局長(=写真)を議長とする国際諮問審議会(IAB)を設置し、同日、首都アブダビで第1回会合を開催した。

原子力発電所の運転における安全確保やセキュリティ、核不拡散など、原子力開発利用のあらゆる側面で国際的にも最も厳格な基準を遵守していくには、国際社会から認知された優れた専門家の知見と卓越した学識が有益との判断から、IABは「UAEの潜在的な原子力平和利用開発と評価のための政策」に基づいて、1年ほど前から設置が検討されていた。UAEは同国初の原子炉建設で、昨年末に韓国の企業連合と総額400億ドルの契約を締結したが、これは2006年末に同国が原子力導入の意思表明をしてからわずか3年後のこと。他に例を見ない短期間での開発利用ということで、事業の計画的推進に万全を期す方針だ。

議長のブリックス氏を含めてIABのメンバーは総勢9名。核科学や核不拡散、原子力規制、発電と配電、原子炉の運転、廃棄物管理、人材育成などの分野で世界中から選び抜かれた専門家で構成されている。日本からは原子力産業サイドから同国の原子力計画への助言等を通じて支援を続けてきた服部拓也・原産協会理事長兼国際協力センター長(元東京電力副社長)が指名された。このほか、韓国の元科学技術大臣の鄭建謨氏、米国の上級外交官のT.グラハム大使、仏原子力庁(CEA)の長官付顧問を務めるJ.ブシャール氏などが含まれている。

IABは今後、年に2回の会合を通じてUAEの原子力開発利用計画における安全確保や核不拡散等の基準達成状況などを評価し、それらの合理的な達成方法などについて適切に助言。それらをベースとする報告書も定期的に作成し、改善可能な部分を勧告する。同報告書はまた、国民も含めた国内外の関係者にUAEの透明性のある原子力開発利用状況を周知するために活用される。


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