政府 温対基本法を決定 原子力推進盛り込む エネ供給とCO削減政策を両立

政府は12日、地球温暖化対策基本法案を閣議決定し、即日国会に提出した。同法案では、エネルギーの安定供給と温暖化ガス削減のために「原子力発電の推進」を盛り込んだものの、産業界がこぞって批判してきた国民的議論不足や国民生活への影響など、今後の国会論議や具体的な法案作りの中で、明確にしていくことなどが強く求められており、掲げた高い理想と現実社会との整合性、国際合意取り付けへの困難な道のりが予想されている。

鳩山首相が国連演説で、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的な枠組みの構築と意欲的な削減目標の合意を前提に、日本の温室効果ガスの排出量を2020年までに25%削減すること、さらに長期的な観点から2050年までに80%削減することを表明したことを受けて、同法案は原子力をはじめ「あらゆる政策を総動員」することにより、目標を達成するため、地球温暖化対策の基本的な方向性を明示した。

これらの目標を実現するための「基本的施策」の1つとして、「原子力に係る施策等」(第16条)を掲げ、温室効果ガスの排出量がより少ないエネルギー源への転換を促進するため、「特に原子力に係る施策については、安全の確保を旨として、国民の理解と信頼を得て、推進するものとする」との表現が盛り込まれた。

「革新的な技術開発の促進等」(第19条)では、国は地球温暖化の防止や適応技術の高度化や有効活用を図るために、@再生可能エネルギーの利用A安全確保を基本とした原子力発電Bエネルギー使用の合理化C燃料電池D蓄電池E二酸化炭素の回収・貯蔵――に関する革新的技術の開発・普及を促進する施策を講ずる、としている。

同法案の目的では、経済の成長、雇用の安定、エネルギーの安定供給の確保を図りつつ、人類共通の課題である地球温暖化対策のために、“思い切った脱化石燃料化”をねらっている。

そのため、国内排出量取引制度の創設(施行後1年以内を目途に成案)をうたい、地球温暖化対策税の2011年度からの実施に向けた検討を行うとしている。温室効果ガスの限度を定める方法は、総量規制を基本にしつつ、生産規模1単位当たりの排出量を限度とする方法についても検討を行うとしている。

また、太陽光、風力、水力、バイオマスなど再生可能エネルギーの供給目標を、05年実績の5.9%から20年までに10%に高めることを目標に掲げ、再生可能エネルギーからの発生電気の全量固定価格買取制度の導入も講ずる、ことを盛り込んだ。


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