文科省 主要事業の予算確保 原子力1.9%の微減

文部科学省の来年度原子力関係予算は前年度比1.9%減の約2478億円を計上している。

主な予算項目では、高速増殖炉サイクル技術〈国家基幹技術〉370億円(前年度347億円)、国際熱核融合実験炉(ITER)計画99億円(同111億円)、大強度陽子加速器施設(J−PARC)研究開発141億円(148億円)、原子力の安全確保・防災対策151億円(147億円)、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術研究開発79億円(87億円)、核不拡散・保障措置イニシアティブ34億円(33億円)、国際機関やアジア諸国への協力8億円(7億円)などとなっている。

昨年11月の行政刷新会議の事業仕分けでは、評価責任者を務めた枝野幸男・衆議院議員が、文部科学省と経済産業省の役割分担などについて「原子力政策全体の見直しの中で議論したい」と述べ、「見直し」との裁定事業もいくつか出されたが、表面的には大きな影響はでておらず、事業の合理化見直しなどで事業確保などを図った。

高速増殖炉サイクル技術では、2025年ごろの実証炉実現をめざし、原子炉システムとして冷却系2ループ化技術、燃料サイクルシステムとして燃料高効率溶解技術などの研究開発を行う。

ITER関連では、ITER機構の分担金14億円(同13億円)、ITER機器の製作や試験、国内機関の活動、人員派遣などに24億円(38億円)、欧州との共同研究である幅広いアプローチ(BA)活動に61億円(60億円)。

地層処分技術研究開発は前年度比9.2%減となったものの事業の合理化などにより、研究計画は確保した。11年度再稼働をめざして現在改造作業が進められている材料試験炉JMTRについても、外部利用計画の拡大などを計画することなどによって、事業スケジュールを確保した。

機関別では、原子力機構は2.9%(56億円)減の1866億円(同1922億円)で、施設整備・運営計画などが27億円減、管理費等が28億円減となっている。放射線医学総合研究所が3.9%(5億4000万円)増の145億円(同140億円)で、茨城県にある那珂湊支所の廃止に伴う経費も盛り込まれている。


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