露、インドに16基建設 露印の協力ロードマップ

ロシアとインドは12日、原子力平和利用分野で2種類の協力合意文書に調印し、インドの3つのサイトで今後新たに最大16基のロシア製原子炉を建設するなど、大規模な原子力協力のためのロード・マップにより両国の連携を一層深めていくことになった。

原子力供給国グループ(NSG)によるインドへの原子力機器・禁輸は、米国の努力で2008年に解除されたが、ロシアはそれ以前の旧ソ連時代から同国への原子炉輸出で合意。こうした経緯から原子力分野におけるインドのロシアに対する信頼は厚く、「書類のみで協力を提案してくるその他の国と比較しても、提案内容が実証的なロシアは圧倒的に別格扱い」とも伝えられており、今後のインド市場においてロシアの優位が揺るがない可能性は高い。

今回の合意は、ロシアのV.プーチン首相がインドを訪問した際、航法衛星システムの取引など複数分野の合意文書とともに調印されており、同行したS.イワノフ副首相が報道陣に明らかにした。原子力協力のためのロード・マップにより、ロシアはインドのクダンクラム原子力発電所で建設中の1、2号機に続いて後続の4基を2017年までに建設。1、2号機は今年後半および来年の運転開始を予定しており、3、4号機はこれらと同じくVVER1000型になる予定だ。

また、昨年12月に両国が原子力協力協定を締結した際、公表していた西ベンガルのハリプール・サイトでも6基を建設する計画。クダンクラムとは異なる設計の原子炉で、17年までにすべての準備工事を終え、最初の2基のコンクリート打設実施を目指す。第3のサイトについては詳細を明らかにしていないが、ここでも6基を建設すると見られている。

なお、インド原子力委員会のS.バネルジー委員長はインタビューで、米印原子力協定と比べて露印原子力協定が有利な部分として次の点を指摘。「まず、将来的にインドでも使用済み燃料の再処理工場を国際原子力機関の保障措置の元で建設することが可能になる。また、原子炉建設にとどまらず、共同で燃料棒の製造工場も建設できる」と明言した。

トリウムによる燃料サイクルを完結させるため、インドには輸入原子炉から出る使用済み燃料でプルトニウムを生産する必要がある。そして、いずれは国際的な保障措置の下でそれらをインド国内の高速炉で燃焼させたいとの考えを表明した。


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