ポーランド 候補サイトを公表 27地点中、ザルノビエクが有力

ポーランドのW.パブラク副首相兼経済相は16日朝、記者会見し、原子力発電候補サイト27地点を発表した。いずれも安全性および地質特性等を考慮してランク付けがされており、かつて政治的な理由から原子力発電所の建設を断念した経緯のあるザルノビエクが最有力候補に挙げられて いる。【ワルシャワ=石井敬之特派員】

ポーランドのメディアはこのニュースで持ちきりで、Tvn24では再三に渡ってザルノビエクの現在のフィルムを流し、特集を組むなど、国民の関心の高さがうかがえる。

ポーランドにとって原子力発電プロジェクトは、単なるエネルギー供給の手段ではない。15日に原産新聞のインタビューに応えた経済省原子力局のレウィンスキ局長は、「単なるプラントの建設ではなく、ポーランド原子力部門の再生および産業界の強化にこそ意味がある」と熱く語った。

原子力発電プロジェクトの実施主体となるポーランド・エネルギーグループ は、プロジェクトのパートナー企業を求め、すでに海外のエネルギー企業と協議を開始している。2013年にも着工し、20年の初号機運開を目指す。2サイトにそれぞれ2〜3基ずつ、合計出力600万kWを建設する考えで、2号機以降は徐々に国産化を進めたい意向だ。世論への配慮もあり、ロシア型炉を採用することはありえないという。

ポーランドでは20年前、政治的な理由からVVER440を採用したザルノビエク原子力発電所の建設が中断され、用意されていた多くの人材が、フィンランド、フランス、カナダなどに流出していった。一度失ったものを再生させるのは並大抵なことでないが、そこには東欧最大の国であるポーランドの威信がかかっている。


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