トルコのシノップ・サイト計画 事前調査で韓国と合意

トルコは10日、黒海に面する北部シノップ地方に韓国製原子炉を建設することを念頭に、韓国との協力議定書に調印した。

トルコの発電公社(EUAS)と韓国電力公社(KEPCO)による調印式は、同日にイスタンブールで開催されていた両国のビジネス・フォーラムに合わせて行われ、同フォーラムの閉幕演説の中で正式に発表された。KEPCOが開発した第3世代で出力140万kWの改良型加圧水型炉(APR1400)の立地を想定し、共同で研究調査を行う計画。

韓国は昨年末にアラブ首長国連邦(UAE)初の原子力発電所建設計画を受注したのを弾みに、大々的な原子炉輸出に乗り出している。UAEの契約獲得では提示価格の安さが重要なポイントだっただけに、トルコの計画でも今後、韓国がこの点を武器に契約をまとめる可能性は高い。

ただし、今回の議定書締結について韓国知識経済省は、「法的、制度的な面での事前基盤調査」と説明。トルコ・エネルギー天然資源省のT.ユルドゥズ大臣も、「今後、作業グループを複数設置し、双方が受け入れ可能と判断すれば、3〜4か月以内に政府間協定締結の準備を整えたい」と表明している。

トルコは2020年までに総電力需要の少なくとも1割を原子力で賄うことを計画。2008年に同国初の原子炉を地中海沿岸メルシン地方のアックユに建設するための競争入札を実施した。この入札にはロシアのアトムストロイエクスポルト社とトルコの地元企業による企業連合だけが参加したが、電力の買取り価格で折り合わず、トルコ電力卸売公社(TETAS)は09年11月、この入札結果をキャンセルしている。しかし、その後両国は首相級協議を通じ、改めて原子力発電所建設計画で交流して行くとの共同声明を今年1月に発表。建設費の融資や燃料供給、建設作業の30%をトルコ企業へ発注するなどのサービスを提示して交渉中と見られている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで