仏IRSN 欧州4機関で安全関係人材養成

仏国の放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は9日、欧州のその他の原子力安全技術組織との共同人材養成イニシアチブとなる「欧州原子力安全訓練指導協会(ENSTTI)」を設立した。

同協会は原子力安全と放射線防護に関するこれまでに例を見ない、新しい訓練指導機関を目指したもので、8日からパリで開催されていた「原子力民生利用へのアクセスに関する国際会議」で仏国のサルコジ大統領が創設を公表していたもの。新規に原子力導入を検討する国にとって、原子炉を安全に運転する高水準の技術者育成が欠かせないことから、仏国を始めとする欧州の原子力先進国が専門的技術や知見を世界中のエンジニアや技術者育成のために分かち合うというのが趣旨だ。

IRSNの他にENSTTIの母体を構成するのは、ドイツの原子炉安全協会(GRS)、チェコの原子力研究所(UJV)、およびリトアニアのエネルギー研究所(LEI)で、修士号保有者と原子力分野での実務経験者を対象に、個別指導に基づく約6週間の短期応用訓練と数か月間の長期コースを設置。欧州で培われた原子力安全および放射線防護分野での研究・評価ノウハウの伝達に焦点を置く。具体的には、4組織の能力と資源をフル活用し、原子力・放射線リスクの分析評価技術とノウハウが身に付くようなテクニックとトレーニングを提供するとしている。

ENSTTIの創設を通じて、4組織は欧州連合や国際原子力機関などの国際組織と連携しつつ、世界中の民生用原子力開発プログラムが安全性に関する評価・研究要求事項を満たしたものになるよう力を尽くす考え。それらの指導法の基準および指針作りについては、ENSTTIの科学審議会が担うことになる。


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