原子力学会 学生たちが研究・論文発表

日本原子力学会関東・甲越支部(支部長=関本博・東京工業大学原子炉工学研究所教授)は12日、東京大学・本郷キャンパスで、「学生研究発表会」(=写真)を開催、芝浦工業大、湘南工科大、東海大、東大、東工大、東京都市大の各大学に所属する学部生・院生らよる計34テーマの卒業研究・学位論文の成果発表と、優秀発表への表彰が行われた。

発表内容は、原子炉物理、高経年化、数値シミュレーション、放射線応用、放射性廃棄物処分など、多分野にわたり、月面用小型原子炉の炉心概念、古代エジプト遺跡の放射化分析といったユニークな研究や、核不拡散、社会受容性に焦点を当てた研究などもあった。

例えば、「21世紀の核軍縮・不拡散の関係」で発表した新宮清香さん(東大)は、これまでの軍縮・不拡散の取組を整理した上で、イスラム圏の学生との対談なども通じ、今後の二国間軍縮と多国間不拡散の進展に独自の仮説を打ち立て、軍縮交渉促進に向けた制度的・社会的「きっかけ」の必要を考察するなどした。

また、「上関原子力発電所立地に向けた合意プロセスの解析」で発表した芝田雄吾さん(同)は、山口県の上関原子力計画をモデルに、電力、自治体へのインタビューなども行い、発電所立地プロセスの詳細を調査、立地成功の要因として、@立地初期段階で事業者が広報活動に徹し地元行政の自主的な意思決定を尊重したA地元行政のトップ等が地権者や立地周辺地域をまわり理解を求めたB事業者が地元住民と積極的にコミュニケーションを図った――ことをあげた。

優秀賞として、大学院の部では「呼吸運動シミュレーションを利用した四次元線量計算法の開発と応用」(東大・小嶋啓幸さん)、学部の部では「格子・粒子ハイブリッド法による気泡流およびスラグ流の数値解析」(同・奥野峻也さん)が選ばれた。


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