【国家成長戦略――「原子力」を見据える】 民主連立政権 内閣府大臣政務官 津村啓介氏に聞く 「課題先進国」日本 原子力を柱に日本モデル――政権交代し、約半年が過ぎた。民主党はマニフェスト・政権政策集を基に、行政刷新会議での事業仕分けを経て、予算案を作成、国会でも年度内成立の見通し。民主党の基本的な政策を問いたい。 津村政務官 私は内閣府で国家戦略室と科学技術政策の政務官を兼務している。当面の課題としては、6月までに新成長戦略をまとめることだ。暮れに閣議決定した新成長戦略の基本方針では、2つのイノベーション=「グリーン」「ライフ」、2つのフロンティア=「アジア経済」「観光・地域活性化」、2つのプラットフォーム=「科学技術」「雇用・人材」の6つの戦略分野を掲げた。 日本は世界で最も厳しい温暖化対策を掲げ、これは望んだわけではないが、最も厳しい少子高齢化問題にも直面している。そういう意味で、日本は“課題先進国”だ。これらの課題を解決するために行う研究開発投資は、30年〜50年先の中国、インド、アジアなどにも輸出できるような成果につながるのではないか。ピンチをチャンスに変えていきたい。 ――民主党はマニフェストや政権政策集で、原子力政策の推進を明記しているが、行政刷新会議の事業仕分けでは、「見直し」との裁定がいくつかだされ、その印象が強く残っている。予算への反映状況などいま一つはっきりしない。 津村政務官 環境・エネルギー問題を解決していくためには、原子力政策は充実させていかなければならない。原子力は1丁目1番地だ。これは選択の問題ではなく、必然の問題だ。今年は原子力委員会で原子力政策大綱、総合科学技術会議で科学技術基本計画の検討を本格的に行う年となろう。連立政権ではあるが、原子力を大いに議論する1年となる。 新成長戦略―科学技術基本計画―原子力政策大綱への作成過程の流れや、平成23年度の予算編成のあり方を見てもらえれば、民主党の政策がはっきりと分かってもらえると思う。 科学技術の23年度予算も、総合科学技術会議で3月から議論をスタートさせた。半年前倒しでの開始だ。科学技術予算の項目にあらかじめ優先順位をつけ、各省に予算要求やアクション・プラン作りを促すやり方だ。 事業仕分けの成果は、科学技術予算の質を高める上で、理解を深めたと思う。間接経費の問題なども浮き彫りにし、ショック療法だった。科学界が答えを出していくことが求められている。本格的な行政と国民との対話が始まっていく。 政府の研究開発投資もGDP比1%以上にはしていきたいと検討しているが、全体を増やす一方で、政治判断で選択と集中も必要だ。科学技術の世界でも限られた予算を配分するのに、政務三役は恨まれ役も果たさなければならない。見直すべきところは見直していく。 ――国民の原子力理解は進んでいると考えているか。 津村政務官 科学技術をポジティブに考えることは、トレンドとしてでてきている。原子力を含む科学技術全般について、国民に理解をもっとしてもらえるように努力していきたい。そのためには、国が科学技術に焦点を当てていることをはっきりと示し、例えば、産官学の科学技術イベントを、特に高校生を巻き込んで行っていくことなどを考えている。将来世代から評価してもらえれば、それはいい政治だと思う。 ――将来展望は。 津村政務官 課題解決型国家として、他国にモデルとされるような「日本モデル」を作っていきたい。そのときに、原子力は1つの選択肢ではなく、必然的な選択肢として、中心に位置付けられているものと考える。 (河野 清記者) |
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