産業競争力部会 原子力など輸出戦略を審議 インフラ輸出、政府支援が必要

経済産業省の産業構造審議会産業競争力部会(部会長=伊藤元重・東京大学経済学研究科教授)は3月26日、水、原子力、鉄道など、インフラ関連産業の海外展開に向けた総合戦略について議論した。

インフラ関連産業の海外展開のための総合戦略案について、経産省より説明、「インフラ産業はわが国産業の高度化に寄与」との考えのもと、システム・インテグレーション、運営・維持管理など、付加価値の増大を図り、世界市場の急激な変化に対応していく必要を総論として述べた。その上で、関連産業の国際競争力強化、金融支援の強化、各国の計画策定段階からの協力・戦略的マッチング、支援のパッケージ化・トップ外交推進、国際ルール対応、オールジャパン体制の構築など、具体的取組の全体像を示した。特に、支援のパッケージ化・トップ外交推進に関しては、韓国によるUAE原子力発電の受注を例に、大統領による相手国首脳に対する直接電話交渉、分野を超えた多様な相手国ニーズへの対応などをあげ、「ソリューションのパッケージ化」の必要を示唆した。

分野別の戦略では、水、石炭火力発電、送配電、原子力、鉄道、廃棄物処理・リサイクル、宇宙産業のそれぞれについて、世界の市場動向、日本企業の強みと課題、目標と方向性を掲げ、原子力分野では、2020年に向け(1)受注体制の整備(2)パッケージ提案力の強化(3)リスクテイク能力の強化(4)原子力協定の締結(5)技術開発の強化――をアクションプランとして示した。

委員からは、「色々な業種が水平統合し、技術を集約していくべき」(渡辺捷昭・トヨタ自動車副会長)、「技術基準の標準化が民間企業では弱く、世界に進出する際に厳しい」(勝俣恒久・東京電力会長)、「標準化活動は、日本政府も専門官を置くべき」(西田厚聰・東芝会長)といった技術開発に関する意見、支援のパッケージ化については、「官民協調ではなく相乗効果となる『ビジネスモデル』を。セールスではなく現地と一体となったコラボレーションを」(妹尾堅一郎・東京大学教授)といった指摘もあった。

次回は5日、ファッション、食料・農業品、観光、アニメ他、日本の感性・文化のアジア市場進出について議論する予定だ。


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