ダブルチェック 安全規制に疑義 石川迪夫氏が原子力委員会で

石川迪夫・日本原子力技術協会最高顧問は3月30日の原子力委員会で、成長戦略への助言を行った。

石川氏は、日本のみパフォーマンスが向上しなかった96年から05年を「失われた10年」とし、その間に18か月ごとの評価を原則とする運転者の実績の系統的評価(SALP=Systematic Assessment of Licensee Performance)から、運転実績を客観的に評価する原子炉監督手法(ROP=Reactor Oversight Process)へと規制を移行してパフォーマンスを改善していった米国と比較し、日本の稼働率低迷の原因は「発電所員の疲弊感」、「定期検査期間の長さ」、「トラブルによる停止期間の長さ」だとした。

原子力安全委員会のダブルチェック体制について現在あまり意味のないものだとの意見を述べる一方、推進と安全の分離については一長一短だとの考えを示した。米国やフランスでは原子力規制委員会に一本化している。

また、電力はローカル産業だが原子力安全は世界的ルールだという考えから、国と自治体の役割整理は政治の役目であり、安全性説明とHLW処分は国が前面に出るべきだと主張。一方で放射線モニタリングに関しては地方の役割にしてみてはと提案した。

海外への発電所輸出体制については、リーダー並びに責任ある受け皿が不在であることを懸念し、海外経験のある人材に権限を与えて、帰国後にも活躍できるようにするなどの対策を求めた。


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