【企画記事】原子力空母の公開度を取材 WINメンバーが米ジョージ・ワシントン号を視察 海軍も『公開こそ理解促進』 横須賀母港化で市民にも公開

原子力関係企業などで働く女性たちで組織するWIN―Japan(会長=小川順子・東京都市大学准教授)のメンバーとその賛助会員ら12名が、神奈川県横須賀市にある米海軍横須賀基地に、停泊中の原子力航空母艦ジョージ・ワシントン号を3月に視察した。その模様を同行取材した。(河野 清 記者

ジョージ・ワシントン号はJR横須賀駅から海を挟んで直線距離で1.5キロメートル程度の岸壁に停泊。「三笠ゲート」から基地内にチャーターバスで入るときに、各自のパスポートなどの確認を求められた。

ジョージ・ワシントン号は、通常動力型空母キティホークとの交代で、08年9月から日本の横須賀を母港にする初めての原子力空母。WIN―Japanは、メンテナンス中の同艦船を訪問し、米海軍の理解推進活動、原子力艦船の現況などについて視察した。

同号は90年7月21日に当時のブッシュ大統領のバーバラ・ブッシュ夫人臨席のもと、米国の初代ジョージ・ワシントン大統領の名を冠されて進水式を行い、92年の米国独立記念日の7月4日に就航した。当時の母港はバージニア州のノーフォーク。長さ約330m、排水量9万7000トン、艦載機約68機、米海軍で17番目の大きさに相当する。

原子炉はPWR2基を搭載、1基で運行および艦内全てのエネルギーを賄えるが、通常は出力を落として2基運転。スクリュー・シャフトは四軸で、計28万馬力。原子炉は20数年間、燃料補給せずに運行でき、艦船の現役寿命を50年とすれば、期間途中で1回燃料交換することになる。停止中は原子炉も停止させている。

乗組員は約5000人、艦載機などの修理は部品調達なども含め、艦船内部でほとんどが可能という。食糧なども含め、外部からの補給がまったくなしでも45日間は活動できる。

艦載機はすべて厚木基地に移動して見ることはできなかったが、格納庫を「メイン・デッキ」として、内部は17階分あり、合計で3000室以上部屋があり、飛行機の昇降用エレベーターを除くと、人用のエレべーターは設置されておらず、移動はすべて狭い階段を利用する。

航空母艦は風上に向って進行しながら、搭載機の発艦を行うが、無風に近い時には自力で進行して発艦させなければならず、その際、原子動力が威力を発揮するという。また、航行に自艦の石油燃料を必要としないことから、艦載機用の燃料を余分に搭載することができ、その分、作戦行動に自由度が増す。飲み水の制限もせずにすむという。

艦長室では、D.ラウスマン艦長(海軍大佐)が歓迎の挨拶をしてくれて、「ノーフォークから1年半前に来た。ほとんどの乗組員が日本は初めてだったが、みんな日本が好きになっている。いまも日本人が1000人も一緒に働いてくれており、日本人がいなければ、この艦の維持はできない」と述べ、日米協力の意義を強調、3人の原子炉担当士官(中尉)、いずれも女性を紹介した。

写真撮影は、陸上の基地部を含め基本的に案内されたところは全て自由で、制限はされなかった。できるだけオープンな姿勢を示すことで、1人でも多くの日本国民の信頼を得たいとする思いや、どんな巨大艦船でも、その中では多くの生身の人間が各々の任務を果たして働いていることで成り立っていることを理解してもらうことなどに、意をつくしていることを感じた。

基地内の陸上部には文部科学省の放射線測定装置が10か所程度あり、管理されている。

米海軍では、毎年12月に横須賀基地を市民に開放し、同艦にも3万人の市民が見学のために押し寄せるという。


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