【第43回原産年次大会】 特別講演 ウォーレン・ミラー米国エネルギー省(DOE)原子力担当次官補「オバマ政権の原子力政策」

今日の米国では、原子力が大きな動きを見せている。オバマ大統領は1月の一般教書演説で、原子力発電所建設の必要性を強調。2月には、米国で30年以上ぶりの新規原子炉建設計画に政府の融資保証を適用すると発表するなど、地球温暖化ガスの排出削減に向け、原子力を含むあらゆる低炭素エネルギー技術の推進を図っている。

最近の調査では、米国民の74%が原子力を支持するとしており、ほぼ同数(70%)が原子力施設増設を着実に行うべきと回答するなど、記録的に高い割合で理解を得ている。

オバマ政権はまた、エネルギー研究開発プログラムに積極的に取り組む姿勢を打ち出した。 原子力エネルギー部門2011年度総予算を5%増額し、総研究開発予算を約5億ドルと約40〜55%増やした。さらに新規原子炉建設計画への融資保証として、これまでの185億ドルを545億ドルに拡大するよう議会に提案している。

原子力推進にあたり、研究開発において以下4つの目標を設定した。

第1の目標は、既存炉の信頼性と安全を確保し、寿命を伸ばす技術と解決策を見いだすこと。このため、長期にわたる高温、圧力、照射の下で材料、燃料、および計装性能に研究開発を行っていく。

第2の目標は、新規原子炉のコスト面における改良を進めることである。小型モジュール炉設計、次世代原子炉プロジェクト、モデリング・シミュレーションなどの研究を支援していく。

第3の目標は、持続可能な燃料サイクルの開発である。ユッカ・マウンテン計画を廃止した代わりに、使用済み燃料と核廃棄物管理のための安全で長期的な解決策への勧告を行うブルーリボン委員会を設置した。また、燃料サイクルのオプションとして、ワンス・スルーとサイクル路線の中間的技術である「モディファイド・オープン・サイクル」を研究していく。

第4の目標として、核拡散とテロの危険を理解し、最小にすることが挙げられる。 原子力利用が世界的に広がっていくにつれ、民間の原子力技術が誤用されるという可能性も大きくなる。この危険を最小にする新たな方法を開発していく。

米国は各国パートナーと引き続き活発な対話を続けていく。そして他国のパートナーと同様、日本との相互協力を大いに評価している。


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