【第43回原産年次大会】 特別講演 リチャード・H.ジョーンズ国際エネルギー機関(IEA)事務局次長「エネルギー供給と温暖化対策の担い手として原子力の将来を考える――『クリーンエネルギー技術の展開』」(ビデオ・メッセージによる講演)

IEAの「世界エネルギー見通し」の参考シナリオ(各国が既存の政策を変更しないケース)によれば、2030年までにエネルギー需要は40%増加する。この増加分のうち93%は非OECD諸国によるもので、これらの国々での石炭消費量は2倍近く増加する。

これに対し、IEAは気温上昇を2度未満に、温暖化ガス排出を450ppmに抑える代案を提案。原子力は水力と並び、大規模なベース電源として利用できる現状で唯一の低炭素発電技術である。「参考シナリオ」から「450シナリオ」にシフトすると、2030年の排出量の10%が原子力で削減可能となる。

第3世代の原子炉は、既に燃費面の有効性と廃棄物の削減を達成している。 課題となるのはリスク管理とコスト削減のための原子炉の標準化である。また再生可能エネルギーも重要となるため、強固でフレキシブルなスマート・グリッドについても確実にしていくべきである。

ウラン調達については近い将来問題とはならないが、発電所の建設や運用にあたる人材の確保は急務である。

GEN−IV技術は、さらなるコスト削減と性能向上、セキュリティ改善を可能とし、2050年以降に重要となってくる。

ケース・スタディの分析では、コスト競争力を確実にするため、原子力に関して明確で一貫した政府の方針が欠かせない。原子力は、適切な条件さえ整えば、強い競争力を持ち、最大限の可能性を達成できる。


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