【第43回原産年次大会】 セッション2 議長=服部拓也原産協会理事長、「原子力ルネッサンスの実現に向けて」

国際エネルギー機関(IEA)の年次報告によると、世界の1次エネルギー需要は新興国の経済発展と途上国の人口増加によって今後も伸び続ける見通し。各国政府が既存の政策を取り続けた場合の「基本シナリオ」では、化石燃料への依存度がさらに高まることから、世界全体の1次エネルギー需要は石油換算で2007年の120億トンから30年には168億トン<と40%の増加が予測されている。

当然、温室効果ガス濃度の上昇は避けられず、地球の平均気温は大幅に増加。こうした事態を避けるためには各国が協調して対策を講じ、大気中のガス濃度を長期的に450ppmに抑え、世界の平均気温の上昇を2度程度に抑える「450シナリオ」が提示されている。この場合のCO排出量は20年直前に309億トンでピークとなり、20年に307億トン、30年には264億トンに減少していく。

しかし、この「450シナリオ」の実現には、生産や輸送、消費で各国が抜本的に政策転換する必要があり、30年には原子力の規模は設備容量、発電量ともに07年の2倍になることが期待されている。

原子力発電開発の今後の見通しについては、複数の国際機関が様々な分析結果を公表しているが、開発が順調に進んだ場合の「高ケース」で、30年に07年の2倍、50年には4倍まで拡大するとの予測結果が出ている。この中で、開発の伸びがひときわ大きいのが中国やインドを中心としたアジア地域となっている。


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