米ドミニオン社 ノースアナ3号機計画で 三菱重工のUS−APWRを採用

米バージニア州の電力会社であるドミニオン社は7日、州内で建設を計画しているノースアナ原子力発電所3号機の設計として、三菱重工業(MHI)が開発した170万kW級US‐APWRを採用すると発表した。

ドミニオン社は2007年11月に同建設計画の建設・運転一括認可(COL)を米原子力規制委員会(NRC)に申請した際、GE日立社のESBWR(高経済性・単純化BWR)の建設を想定していた。しかし、両社は昨年3月、エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約に関する協議で合意に至らず、ドミニオン社はその他の原子炉設計について技術評価を実施していたもの。MHIは100%出資の現地法人を通じてUS‐APWRを提案し、採用内定を勝ち取った。

MHIによると、US‐APWRは日本原子力発電会社の敦賀3、4号機向けに建設準備中のAPWRをベースに、米国の顧客ニーズを反映させた世界最大級のPWR。世界最高レベルの熱効率(39%)やプラント建屋容積の約2割削減を実現するとともに、24か月の連続運転を実現するなど、経済性の大幅な向上が可能だという。

同設計はすでに、米ルミナント社のコマンチェピーク原子力発電所向けの2基にも採用が決定。順調に進んでいるほか、MHIにはその他の海外向け原子炉圧力容器や蒸気発生器(SG)などの輸出でも実績がある。また、日米原子力共同行動計画の合意により政策協調が図られるなど、日本政府の支援があったことも内定獲得の追い風になったとしている。

一方、ドミニオン社のT.ファレル会長はUS‐APWRについて、「十分な試験をクリアした安全かつ実証済みの設計」と評価。ノースアナ発電所サイトで分析・認可されているすべての環境要求項目を満たしていると説明した。

同社は現段階では、実際に3号機を建設するか否かの判断を下しておらず、今年末をメドに建設が決定した場合は、NRCによる同設計の認証(DC)や建設計画に対するCOL発給、およびバージニア州政府の承認を待つことになる。また、MHIとも正式契約の締結に向けてさらに交渉していく考えだ。


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