地球温対基本法案が衆院通過 小沢鋭仁環境相が講演 環境と成長の両立めざす 「環境技術で世界のトップを」鳩山民主党政権が掲げる重要政策の1つである地球温暖化対策基本法案が18日、衆院本会議で民主党、社民党などの賛成多数で可決された。今後、「原子力発電の推進」も明示されている同法案の審議は、会期1か月をきった参院に移る。 民主党は野党時代から自公連立政権に対抗して、国会に地球温暖化対策法案を提出、2020年までに90年比25%削減を主張してきた。昨年8月の総選挙では政権公約(マニフェスト)にその目標を盛り込み、排出量取引市場の創設と地球温暖化対策税の導入を「検討します」とうたった。 「国民負担の増大」「国際競争力の喪失」など、あまりにも理想主義的で、現実離れしていると批判されもしている温暖化対策目標について、鳩山政権を支える側近3人衆の1人と言われ、担当大臣でもある小沢鋭仁環境相が12日、環境政策フォーラムで行った講演から、民主党の「政治主導」への思いを紹介する。 小沢環境相はまず、選挙を通じた本格的な政権交代で誕生した鳩山内閣は、いままでの政権との違いを、@政治主導A地域主権B環境政策――の三点だとし、「『志を持った内閣』だと自負している」と強調。 ただ、政治は結果がうまくいっていなければならないとも付言し、「まだ熟度が足りない」と現状を評価したが、「志がない政権は何日経っても、何年経ってもだめ。志があれば、熟度は上がっていく」とも付け加えた。 本題の環境政策については、「この地球と言う宇宙の中の稀有な命ある地球を守り、次世代に渡していかなければならない。それが、経済も生活も大事だが、最低条件だ」と語り、「それが政治決断だ」と強調した。 最近、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC、ラジェンドラ・パチャウリ議長)がまとめた報告書の一部に、懐疑的な内容(いわゆるクライメート・ゲート事件)が伝えられている件については、「IPCCの報告は、一研究者の報告書ではない。本質的な部分で疑義は持っていない。いまもゆるぎない支持をしている」と表明した。 5月2日から4日にかけてドイツのボン近郊ペータースベルクで開かれたドイツと次期気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)の開催国であるメキシコ共催の「気候変動に関する閣僚級会合」に出席した感触について同相は、COP16(11月末〜12月、メキシコ・カンクン)での国際合意は、「なかなか厳しい」としながらも、「日本は諦めないぞ」との強いメッセージを発してきたと報告した。 COP15(09年12月7日〜19日、デンマーク・コペンハーゲン)では、コペンハーゲン合意について国際的に合意には達しなかったものの、「締約国は留意する」ことが決定されたことに、大きな成果が見出せると振り返った。 同会議を特徴的に言えば、先進国と新興国との対立≠ニ解説し、2013年以降の削減目標(ポスト京都議定書)に米国と中国が入ってくるかどうかが重要であり、米国も京都議定書に署名はしたが議会を通らなかったもので、夏の参議院選挙で民主党は勝ちたいが、万一負けても、「議会情勢を理由にする(条約を批准しない)この方法は、日本も参考になるのではないか」と冗談を飛ばした。 さらに世界的な問題を解決する方法として、国際的枠組みと二国間・地域間協定を通じての解決策との違いについても言及し、全体合意と部分合意≠フ意味について、気候変動問題についても、世界貿易機関(WTO)と経済連携協定(EPA)と同じような構図になりつつあることに警鐘を鳴らし、「まだ日本政府は諦めない。だから産業界も一丸となって政府を応援してもらいたい」と訴えた。 今後、参院での審議入りとなる地球温暖化対策基本法についても、基本的施策として盛り込んだ@国内排出量取引制度の創設A地球温暖化対策のための税の平成23年度から実施に向けた検討その他の税制全体のグリーン化B再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度の創設その他の再生可能エネルギーの利用の促進――は、「自公政権ではできなかったもの」と強調。 さらに、「環境と成長の両立」に向けて、「環境技術で世界のトップを走り、経済成長に結び付けていく」との戦略に基づいて、今後の基本計画づくりについては、来年の通常国会に提出する見通しを示し、年末には税制も決定したい、との考えを示した。 (河野 清記者) |
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