経産省 川内3で1次ヒア 「町の元気」に、地域振興へ期待も 九州電力 「理解活動に終わりはない」

九州電力が19年度の営業運転開始を目指し計画する川内原子力発電所3号機(159万kW、APWR)の設置に係わる第1次公開ヒアリング(経済産業省主催、議長団=横尾英博・資源エネルギー庁電力・ガス事業部長他)が18日、川内文化ホール(鹿児島県薩摩川内市)で行われた(=写真)。

約900名が傍聴する中、発電所を立地する薩摩川内市および隣接する阿久根市、いちき串木野市の住民20名が陳述人がとして意見・質問を述べ、電力側からは段上守副社長らが説明・回答に当たった。会場内では野次、妨害行為などはなく、議事はほぼスケジュール通りに進行。原子力施設の1次公開ヒアは、東京電力の東通発電所設置に係わる03年11月の開催以来、およそ6年半ぶり。

はじめに九州電力が川内3号機設置計画の概要を説明。同発電所には1、2号機で、それぞれ1984、85年より営業運転の実績があるが、将来的な電力需要の増大と、これに対応したエネルギー・セキュリティの確保、地球環境問題への対応、経済性等を勘案し、原子力の発電電力量に占める構成比50%の電源ベストミックスを目指すべく、増設計画具体化に至った経緯を述べた。

環境調査結果を踏まえ、九州電力は09年1月、地元の鹿児島県および薩摩川内市に3号機増設の申し入れを行っている。同機に採用されるのは、安全性、信頼性、運転保守性の向上などが図られたAPWRで、電気出力159万kWは、現在運転・計画中の国内原子炉では最大級だ。

これに対して、陳述人からは、安全・防災対策、温排水の漁場に及ぼす影響などを懸念する質問や、1月に1号機定期検査中に発生した作業員死傷の件とも含め合わせて、増設に反対する意見もあった。また、九州電力では、昨年1月の地元申し入れ以降、住民説明会を実施してきているが、これら取組の成果を定量的に問う陳述人の声に対し、電力側は「理解活動に終わりはない」として、今後もあらゆる機会を通じて地域の理解獲得に努めていく姿勢を示した。

薩摩川内市で旅館業を営む男性(38歳)は、意見陳述の中で、地域イベントの企画、地元の観光案内に係わってきた経験も踏まえ、「3号機増設を『町の元気』の起爆剤に」などと、発電所立地に伴う地域振興への期待を強調した。放射性廃棄物処分問題などに関する発言も多々あった。

今後、九州電力は、地元の了承を得た上で同機の重要電源開発地点への指定を申請、経産省は、今回ヒアリングの意見陳述も参酌して、これを決定し、電力側からの原子炉設置許可申請を受け、安全審査へと移ることとなる。


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