原子力部会が報告書 推進行動計画を承認 国内外の積極方策示す

総合資源エネルギー調査会の第25回原子力部会(部会長=田中知・東大院教授)が4日、経産省で開かれ、同省が報告書(案)「原子力発電推進行動計画――安全と信頼〜世界の原子力新時代における日本の挑戦」を提示し、3月から4回にわたって審議してきた内容を取りまとめ、了承した。

鳩山由紀夫首相の退陣を受けて、同日午後の衆参各本会議で、民主党の菅直人副総理・財務相の首相指名を前に、会議の冒頭、増子輝彦・経産副大臣が挨拶し、「政権が変わっても、政策は継続されていく。報告書の題名には『安全と信頼』をあえて付け加えさせてもらった。エネルギー基本計画や政府の成長戦略の大きな柱となるものだ」と語った(=写真)。

報告書では具体的な取組として、@新増設・リプレース、設備利用率の向上等を推進するための基本的取組A立地地域住民や国民との相互理解と立地地域における地域振興B科学的・合理的な安全規制の充実に向けた対応C核燃料サイクルの早期確立と高レベル放射性廃棄物処分等に向けた取組の強化Dウラン燃料の安定供給に向けた取組の強化E原子力の国際的課題への対応――を挙げた。

2020年までに9基の原子力発電所の新増設と設備利用率約85%(現状約60%)、2030年までには少なくとも14基以上の新増設と設備利用率約90%の実現を目指すとしている。

燃料サイクルについても、原子力発電の優位性をさらに高めるものとして、「確固たる国家戦略として、引き続き着実に推進する」と強調しているほか、原子力産業の国際展開を積極的に進めていくことは、我が国の経済成長のみならず、世界のエネルギー安定供給、地球温暖化問題、さらには原子力の平和利用の健全な発展にも貢献する、との意義を強調している。稼働率の向上や、既設炉の有効活用を図る方針も確認した。


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